飲食店の売上を上げたい。これは経営者なら誰もが思うことですよね。でも、なかなか思うように伸びなくて悩んでる方も多いのではないかと思います。
僕は25年間、飲食業界の最前線で現場と経営の両方を経験してきました。アルバイトからスタートして店長になり、店舗責任者として危機対応も経験しました。
その経験から言えるのは、売上アップには「来客数×客単価」というシンプルな方程式があるってこと。 |
この2つの数字をどう上げるかが全てなんです。でも、そのためのアプローチは実に多様で、店舗ごとに最適解は違います。
今日は僕の経験から導き出した、飲食店の売上を確実に上げる20の実践アイデアを紹介します。これは理論だけじゃなく、実際に現場で効果が出たものばかり。明日からすぐに使えるアイデアも多いので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店の売上アップを実現するためにできる集客アイデア7つ
まずは「来客数」を増やすための施策から見ていきましょう。
新規のお客様を増やすことは、売上アップの基本中の基本です。
でも、ただやみくもに集客すればいいってもんじゃないってことを僕はよく知っています。効率的に、そして長期的に効果が出る方法を選ぶことが大切です。僕が実際に効果を感じた7つの方法を紹介します。
1. SNSを活用した視覚的アピール
2025年の今、InstagramやTikTokは飲食店にとって最強の集客ツールになっています。特に料理の見た目が映える写真や動画は強力です。
でもね、ただ写真を上げるだけじゃダメなんです。最近の調査によると、「その土地ならでは」の体験を求める消費者が増えています。地域性や季節感を前面に出した投稿が効果的です。
例えば、夏なら「#石川県 海鮮」「#夏ごはん あっさり」などのハッシュタグを使って、冷たさや涼しさを演出する投稿が効果的。これは実際に多くの店舗で成果が出ている方法です。
2. Googleビジネスプロフィールの最適化
これ、意外と見落とされがちなんですけど、Googleで「近くのラーメン屋」とか検索したときに上位に表示されるかどうかで集客力が全然違うんです。
Googleビジネスプロフィールを最新の情報で更新し、特に季節メニューの写真を定期的に追加することが重要です。お客様のレビューへの返信も忘れずに。これだけで検索順位が上がることがあります。
僕が関わった店舗では、夏メニューの写真を追加しただけで予約数が15%増えた例もあります。
>>>Google ビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)
3. 地域イベントとの連動企画
地元の夏祭りやイベントと連動した特別メニューや割引を提供すると、新規客の獲得につながります。
「祭りの帰りに寄ってくれたら生ビール一杯サービス」みたいな単純なものでもいいんです。重要なのは、地域に根ざした店であることをアピールすること。
これは特に地方の個人店で効果が高いです。地域との繋がりを大切にすることで、長期的な顧客基盤を作れます。
4. 限定感を演出したメニュー開発
「今だけ」「ここだけ」という限定感は、新規客を引き付ける強力な武器になります。
季節限定メニューや数量限定メニューを導入することで、「今行かないと食べられない」という焦りを生み出せるんです。SNSでの拡散効果も期待できるでしょう。
*ただし、あまりにも短期間すぎると効果が薄いので、最低でも2週間〜1ヶ月は提供できるようにすることを推奨します。
5. クーポン配布の戦略的活用
クーポンって効果あるの?って思う人もいるかもしれませんが、使い方次第です。
例えば、平日限定のランチクーポンを配布すれば、客足の少ない時間帯の集客につながります。また、「次回使える」クーポンを会計時に渡せば、再来店率アップにも効果的。
ただし、繁忙期にクーポンが使えると売上が下がるリスクもあるので、使用期間の設定には注意が必要です。閑散期に使えるようにするのがポイントですね。
6. 口コミサイトの積極活用
食べログやRettyなどの口コミサイトは、今でも新規客獲得の重要なチャネルです。
でもね、ただ登録するだけじゃなくて、定期的に写真や情報を更新することが大切。特に、お客様からの口コミへの返信は必ずやりましょう。感謝の気持ちを伝えるだけでも印象が全然違います。
これって当たり前のことなんですけど、意外とやってない店舗も多いんですよね。小さな積み重ねが大きな差になります。
7. 店頭ディスプレイの工夫
通行人の目を引く店頭ディスプレイは、即効性のある集客方法です。
業態がすぐにわかるような看板、季節感のある装飾、メニューサンプルの効果的な配置など、視覚的なアピールを工夫しましょう。
僕が銀座で働いていたとき、店頭に季節の食材を飾るだけで立ち止まる人が増えて、入店率が上がったことがありました。人は目で見て判断する生き物なんです。
飲食店の客単価アップで売上を最大化する6つのアイデア
次は「客単価」を上げるための施策です。これは既存のお客様から、より多くの売上を上げるための方法として知られています。
客単価アップは、新規客を獲得するよりもコストがかからないことが多いんです。だから、効率よく売上を伸ばしたいなら、まずここに注目すべきかもしれません。
1. セットメニュー・コースの戦略的設計
単品よりもお得感のあるセットメニューやコース料理は、客単価アップの王道です。
ただし、ただ組み合わせるだけじゃなくて、原価率と提供時間のバランスを考えた設計が重要。特に回転率を重視する店舗では、提供時間が短いメニューを組み合わせることがポイントです。
例えば、ランチタイムなら30分以内に提供できるセット、ディナータイムなら60〜90分で完結するコースがおすすめです。
2. ドリンクメニューの充実と推奨
飲み物って実は利益率が高いんですよ。だから、ドリンクメニューを充実させて、積極的に推奨することは効果的です。
料理に合わせたドリンクペアリングの提案や、季節限定のドリンク、プレミアムドリンクの導入など、選択肢を増やすことが大切。
しかし、ただメニューを増やすだけじゃダメで、スタッフが自信を持って「このドリンクがおすすめです」と言えることが重要なんです。試飲会などでスタッフ教育をしっかりやりましょう。
3. 追加オーダーを促す声かけ
タイミングを見計らった追加オーダーの提案は、客単価アップに直結します。
食事の進み具合に合わせて、「締めのご飯ものはいかがですか?」「デザートのスペースありますか?」など、自然な声かけをすることが大切。
ただここで、押し売りっぽくならないように気をつけることも重要です。お客様の様子を見て、タイミングを見極めましょう。これは経験が物を言う部分ですね。
4. 高付加価値メニューの開発
厳選素材や特別な調理法を用いた高付加価値メニューは、客単価アップに効果的です。
「A5ランク和牛の炭火焼き」「〇〇県産の希少食材を使った一品」など、ストーリー性のあるメニューは、価格が高くても注文されやすいんです。
ただし、高いだけじゃダメで、その価値をしっかり伝えることが大切。メニュー表の説明文や、スタッフの説明力が重要になってきます。
5. 季節・時間帯別のメニュー戦略
季節感のあるメニューや、時間帯に合わせたメニュー展開も効果的です。
夏は冷たいデザート、冬は温かい鍋物など、季節に合わせたメニューは注文率が高い。また、ランチタイムは回転率重視、ディナータイムは滞在時間と客単価重視など、時間帯によって戦略を変えることも大切です。
これは「お客様の気持ちになって考える」ってことなんですよね。その時、その場で何が食べたいか、を想像することが大事です。
6. メニューブックのデザイン改善
実はメニューブックのデザインって、客単価に大きく影響するんです。
高品質な料理写真、適切な商品説明、見やすいカテゴリー分け、そして何より利益率の高いメニューを目立つ位置に配置することがポイント。
視線の動きを研究すると、メニューを開いたときに最初に目が行くのは右上のエリアだと言われています。ここに推しメニューを置くといいことをおすすめします。
リピーター獲得であなたの飲食店の売上を安定させる4つのアイデア
新規客の獲得も客単価アップも大切ですが、長期的な経営安定には「リピーター」の存在が欠かせません。
リピーターを増やすことは、マーケティングコストの削減にもつながるんです。
新規客の獲得コストは、既存客の維持コストの5〜25倍とも言われていますからね。 |
1. 顧客情報の戦略的活用
お客様の好みや来店履歴などの情報を記録し、活用することは、リピート率向上の基本です。
「前回ご注文いただいたワインはいかがですか?」「お誕生日おめでとうございます」など、パーソナライズされたサービスは顧客満足度を高めます。
昔は紙のノートで管理していましたが、今はCRMシステムを導入すれば効率的に顧客管理ができますよ。投資する価値は十分あります。
2. ポイントカード・会員制度の導入
来店や購入金額に応じてポイントや特典が貯まる仕組みは、再来店を促す効果があります。
デジタル化されたポイントシステムなら、顧客データの収集・分析にも活用できるので一石二鳥。会員限定の特別メニューや優先予約枠の提供なども効果的です。
ただし、仕組みが複雑すぎると逆効果なので、シンプルで分かりやすい設計を心がけましょう。
3. アフターフォローの徹底
来店後のフォローも、リピート率向上に効果的です。
来店御礼のメッセージ、誕生日や記念日のお祝い、新メニュー情報の案内など、適切なタイミングでコミュニケーションを取ることが大切。
でもね、頻度が高すぎるとうっとうしく感じられるので、月1〜2回程度が適切だと思います。内容も「お得情報」だけでなく、価値ある情報を届けることを心がけましょう。
4. 接客サービスの質向上
結局のところ、リピーターを増やす最も基本的な方法は、接客サービスの質を高めることなんです。
スタッフ教育の徹底、顧客ニーズの把握、チームワークの強化など、地道な取り組みが必要です。特に「また来たい」と思わせる雰囲気づくりが重要。
僕が大切にしているのは「楽しくなければ飲食店じゃない」という考え方。お客様も従業員も楽しくなければ、長続きしないと本気で思っています。
業務効率化で飲食店の利益率をアップさせる3つのアイデア
売上アップと同じくらい大切なのが、利益率の向上です。同じ売上でも、利益率が高ければ手元に残るお金は増えますから当然かもしれません。
業務効率化は、人件費や原価の削減につながり、結果的に利益率アップに貢献します。でも、ただコストカットすればいいってもんじゃないんです。
1. 原価管理の徹底
飲食店経営の基本中の基本は、原価管理です。
定期的な原価計算、仕入れ先の見直し、メニュー構成の最適化など、細かな積み重ねが大きな差を生みます。特に原価率の高いメニューと低いメニューのバランスを考えることが重要。
僕が現場で働いていたとき、ビールの原価管理をノートで手作業していました。今はPOSシステムで簡単にできますが、その感覚は今でも役立っていますね。
特に原価率の高いメニューと低いメニューのバランスを考えることが重要。
ちなみに、こちらの記事「低利益率なのに長続きする飲食店の不思議について」もとても参考になると思います。
2. 人員配置の最適化
人件費は飲食店の主要コストの一つ。効率的な人員配置は利益率向上の鍵です。
時間帯別の来客数データを分析し、繁忙期・閑散期に合わせた人員配置を行うことが大切。また、マルチタスク可能なスタッフの育成も効果的です。
ただし、人員削減だけを考えると、サービスの質が低下してリピーターを失うリスクもあります。バランスが重要ですね。
3. テクノロジーの活用
近年は飲食店向けのテクノロジーが進化し、業務効率化に大きく貢献しています。
予約・顧客管理システム、POSレジ、セルフオーダーシステムなど、導入コストはかかりますが、長期的に見れば人件費削減や売上アップにつながることが多いです。
特に予約管理システムは、電話対応の時間削減と予約ミスの防止に効果的。僕が関わった店舗では、導入後に予約数が20%増加した例もあります。
まとめ:明日からできる売上アップの第一歩
今回紹介した20の実践アイデア、いかがでしたか?全部いきなり実践するのは難しいかもしれませんが、自分の店舗の状況に合わせて、できることから始めてみてください。
最後に、明日から始められる「売上アップの第一歩」を3つだけ紹介します。

1つ目は、Googleビジネスプロフィールの更新。最新の写真と情報を追加するだけで、検索表示が改善される可能性があります。
2つ目は、スタッフへの追加オーダー声かけの徹底。タイミングを見計らった一言が、客単価アップに直結します。
3つ目は、来店客の情報収集。誕生日や好みのメニューなど、簡単なことからでも始めてみましょう。
飲食店の経営は本当に大変です。でも、お客様の「美味しかった」という笑顔を見ると、全ての苦労が報われる気がしますよね。あなたも同じだと思います。
「楽しくなければ飲食店じゃない」。この言葉を胸に、明日からの一歩を踏み出してみてください。皆さんの店舗が繁盛することを心から願っています。
もし具体的なアドバイスが必要なら、ぜひevisuにご相談ください。現場目線でのサポートを提供しています。
岡本優
飲食業界歴25年/元・銀座ライオン本店 総支配人
現場を知り尽くした、飲食店伴走型パートナー
飲食業界歴25年。国内最大級のビヤホール「銀座ライオン」にアルバイトとして入社後、現場一筋でキャリアを重ね、社員、店長を経て、700席を擁する新宿・銀座ライオン本店の総支配人に就任。
店舗経営、メニュー開発、人材育成まで、マネジメント全般を統括。未曾有のコロナ禍においては、厳しい経営状況も経験しました。
25年間の現場経験のすべてを「飲食業界への恩返し」に注ぎたいと一念発起し、独立。現在は、豊富な店舗運営の経験とベンチャー企業で培った知見を活かし、数字に強い実務型パートナーとして個人飲食店のオーナー様を支援しています。
机上の空論ではない、現場に深く寄り添った改善提案が信条です。オーナー様と共に汗を流し、課題を乗り越える。「楽しくなければ飲食店じゃない!」をモットーに、スタッフが輝き、利益が生まれる店づくりを一緒に全力で伴走します。
