【2025年最新】飲食店の経費20項目と計上のコツ

店舗経営
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こんにちは!飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本です。

飲食店を経営していると、日々さまざまな出費が発生します。この出費を「経費」として正しく計上できるかどうかが、利益を左右する重要なポイントになるんです。

僕は25年間、飲食業界の現場で働いてきましたが、最初のころは経費計上の知識が不足していることが多いと感じていました。「これって経費になるの?」と悩むことも少なくありませんでした。

経費として認められるものをしっかり把握していれば、納税額を適正に抑えることができます。逆に、経費にできないものを無理に計上すると、税務調査で指摘されるリスクも。今回は2025年最新の情報をもとに、飲食店の経費について詳しく解説していきます。

飲食店で計上できる経費20項目

飲食店経営で計上できる経費は多岐にわたります。ここでは、特に重要な20項目を紹介します。これらをしっかり押さえておけば、税金面でもかなり違ってくるはずです。

🍽 飲食店の経費20項目まとめ表

No.経費項目主な対象内容・例備考・注意点
1仕入れ費食材、飲料など原価率の管理が重要。安価仕入れによる品質低下に注意し、適正な仕入先を選ぶ。
2人件費給与、アルバイト給与、社保事業主負担固定費と変動費のバランスを意識。最低賃金上昇に注意。
3家賃・地代店舗家賃、地代、更新料、保証金売上に対する家賃比率15%以下が理想。開業時の物件選びが重要。
4水道光熱費水道・電気・ガス・炭など省エネ設備導入や節水・節電で削減可能。流水解凍や不要箇所の照明削除も効果的。
5消耗品費・備品費洗剤、割りばし、紙おしぼり、皿・グラス・調理器具など10万円未満は全額計上可。質の良い器具は長期使用で結果的にコスト削減に繋がる。
6広告宣伝費チラシ、看板、HP制作費、SNS広告などデジタル×アナログ併用が効果的。顧客体験向上による口コミも有効。
7通信費電話、ネット、予約システムキャッシュレス決済の通信も含む。
8保険料火災、損害賠償保険、労災保険万が一に備え、店舗・従業員・設備をカバーする適切な保険加入を。
9会議費打合せ時の飲食代(1人5,000円以下)超えると交際費扱い。目的・参加者・内容を記録。
10交際費会食、贈答品中小企業は800万まで50%損金算入可。記録管理を徹底。
11福利厚生費慰安旅行、健康診断、制服代全員対象が原則。一部のみ対象は給与扱いになる恐れあり。
12修繕費店舗・設備の修理・維持費大規模改修は減価償却対象。現状維持は経費計上可。
13研修費講習、セミナー、書籍代人材育成は長期的利益に直結。接客研修で客単価向上例あり。
14購読費業界誌、料理・経営書籍私的利用はNG。事業関連性を説明できる書籍のみ。
15調査費競合調査、覆面調査など目的・場所・内容を明記。飲食代も調査目的なら計上可。
16減価償却費厨房機器、空調、内装費など耐用年数に応じて分割計上。内装工事は坪単価30〜100万円が相場。
17車両費燃料、車検、駐車場代など事業利用割合で按分計上。使用率記録が必要。
18支払手数料カード決済手数料、振込手数料キャッシュレス普及で増加中。
19租税課金固定資産税、印紙税、許認可手数料所得税・法人税・消費税は対象外。
20接待交際費取引先との会食、贈答品交際費と似るが限度額や対象が異なる。税務調査時は証憑保管を厳格に。

気になる項目はあるでしょうか?詳しい話は各見出しへ以下のリンクをクリックして遷移してみてみてください。

1.仕入れ費
2.人件費
3.家賃・地代
4.水道光熱費
5.消耗品費・備品費
6.広告宣伝費
7.通信費
8.保険料
9.会議費
10.交際費
11.福利厚生費
12.修繕費
13.研修費
14.購読費
15.調査費
16.減価償却費
17.車両費
18.支払手数料
19.租税課金
20.接待交際費

1. 仕入れ費

メニューを提供するための食材や飲料の仕入れにかかる費用です。原価率の管理も兼ねて、しっかり記録しておきましょう。

仕入れ値の調整(安価な商品の仕入れ)を安易に行うと品質の低下も考えられます。品質を落とさず、適正な仕入れ先を選ぶことが大切です。

2. 人件費

従業員の給与、アルバイトさんの給与、社会保険料の事業主負担分などが含まれます。人件費は飲食店の経費の中でも大きな割合を占めるため、適切な管理が必要です。

2025年は最低賃金の上昇が続いているため、人件費の増加に注意が必要です。特に外食産業の賃上げ率は6.74%と高水準になっています。固定費(社員給与)変動費(アルバイト給与)のバランスとコントロールに心がけましょう。

3. 家賃・地代

店舗の家賃や土地の賃借料は全額経費になります。契約時の仲介手数料や更新料、保証金なども経費計上可能です。

家賃は固定費の中でも大きな割合を占めるため、開業時の物件選びが非常に重要になります。売上に対する家賃の比率は15%以下が理想的だと思います。

4. 水道光熱費

水道代、電気代、ガス代などの光熱費は全額経費になります。省エネ設備の導入は初期費用がかかりますが、長期的には経費削減につながります。もちろんこまめな省エネも、ちりも積もればです。また、照明器具やエアコンなど不必要な場所は電球(器具)を取る、温度コントロール(ここは付けてここは消すなど)を徹底することにより削減も可能です。水道などは流水解凍などをやめるだけで効果が出ますよ。蛇口もハンドル式からレバー式に変更するだけでも節水につながります。

5. 消耗品費・備品費

皿什器・グラス類、調理器具、掃除用品、事務用品など、短期間で消費するものが対象です。10万円未満のものは、購入した年に全額経費計上できます。ここも大きな経費削減ポイントと私は考えています。

皿什器・グラス類など経営者は「割るな!大事に使え!」と良く店内で聞く言葉です。しかし、どうしても忙しくなると洗い場がぐちゃぐちゃになり、重ねて、崩れて、大崩壊、、、あるあるです。また、あまりにも従業員が割るから、「皿グラスは買いません!大事に使うのが分かるまでこの数量でやります!」、、、こういうのはほんとにナンセンスですよね。皿・グラスが足りないと余計人の手が多くかかり、お店は忙しくなり、お客様にも迷惑をかける。そして一つ一つの作業が雑になり、また割れる。これはナンセンスの極みです。私は皿グラスを十分に用意して余計なところに気をかけず、お客様接客に集中する。余裕が出来て、一つ一つの作業が丁寧になると皿グラスが割れない割らないようになります。

調理器具はどうせ汚れるし、どうせ壊れるし、安いもので良いかな。よくこう考える経営者の方がいらっしゃると思いますが、これは大きな間違いです。料理人は本当に物を大切にする方が多いと思います。それは原価管理と同じだと思っています。食材を大切にする(ロスを出さない)と同様に調理器具も大切に使います。だからこそ良いものを選ぶことが大事です。まな板1つ、鍋一つとっても、良いものは長く使えます。オープンから30年以上経っても同じ鍋を磨いて使っている鍋は本当においしい料理を生み出すと思います。

6. 広告宣伝費

チラシ、看板、ウェブサイト制作費、SNS広告費などが含まれます。2025年現在、デジタル広告の重要性はますます高まっていますが、地域密着型の店舗ではアナログな宣伝方法も効果的です。

私の経験では、オープン時は広告にある程度投資し、その後は顧客体験の向上に力を入れる方が長期的に効果があります。良い体験は口コミを生み、それが最高の宣伝になりますから。

7. 通信費

電話代、インターネット接続料、予約システムの利用料などが該当します。今はキャッシュレス決済の通信費も重要な項目です。

8. 保険料

火災保険、損害賠償保険、従業員の労災保険料などが含まれます。万が一の事態に備えて、適切な保険に加入しておくことをおすすめします。

意外と見落としがちな経費項目

次に紹介するのは、飲食店オーナーが意外と見落としがちな経費項目です。これらもしっかり把握して、適切に計上していきましょう。

9. 会議費

取引先との打ち合わせや社内ミーティングの際の飲食費は、一人5,000円以下であれば会議費として計上できます。

ただし、5,000円を超える場合は交際費として扱われるため注意が必要です。会議の目的や参加者、内容などを記録しておくと、後々の税務調査でも安心です。

10. 交際費

取引先との会食や贈答品などが該当します。中小企業(資本金1億円以下)の場合、年間800万円までは交際費の50%が損金算入できます。

交際費は税務調査でよくチェックされる項目なので、誰と、どんな目的で、いつ使ったかをしっかり記録しておくことが大切です。

11. 福利厚生費

従業員の慰安旅行や社員旅行、健康診断費用、制服代などが含まれます。従業員のモチベーション向上にもつながる重要な経費です。

福利厚生費は原則として全額経費計上できますが、特定の従業員だけが利益を受けるものは給与として扱われる可能性があるので注意が必要です。

12. 修繕費

店舗や設備の修理・メンテナンス費用です。現状を維持するための修繕は経費になりますが、機能向上や耐用年数を延ばすような大規模な改修は資本的支出として減価償却の対象になります。

13. 研修費

従業員の技術向上のためのセミナー参加費や講習会費用、書籍代なども経費になります。人材育成は店舗の質を高める重要な投資です。

スタッフの接客研修に投資したことで、客単価が15%も上がった店舗もあります。技術や知識への投資は必ず店に還ってくると思っています。

14. 購読費

業界誌の購読料や、経営・料理に関する書籍代は新聞図書費として計上できます。知識のアップデートは経営者として欠かせません。

ただし、完全に私的な目的の書籍は経費にならないので、事業との関連性を説明できるものを選びましょう。

15. 調査費

市場調査や競合店調査のための費用も経費になります。例えば、競合店のメニューを調査するために利用した飲食代も、調査目的であれば経費計上可能です。

調査費として計上する際は、どのような目的で、どこで、何を調査したかを記録しておくことが重要です。

16. 減価償却費

10万円以上の設備や備品は、一度に経費にならず、法定耐用年数に応じて少しずつ経費計上していきます。これが減価償却です。

厨房機器や空調設備、内装工事費なども減価償却の対象になります。2025年現在、飲食店の内装工事費用は坪単価30万円から100万円程度が相場です。

経費計上のコツと注意点

経費を適切に計上するためのコツと、税務調査で指摘されやすい注意点について解説します。

17. 車両費

仕入れや営業に使用する車の燃料費、駐車場代、車検費用、修理費などが該当します。プライベートでも使用する場合は、使用割合に応じて経費計上します。

例えば、仕事で70%、プライベートで30%使用している場合、燃料費や車検費用の70%を経費として計上できます。

18. 支払手数料

クレジットカードや電子マネーの決済手数料などです。2025年はキャッシュレス決済がさらに普及し、この費用も増加傾向にあります。

19. 租税課金

事業に関わる税金(固定資産税など)や印紙税、各種許認可の手数料などが該当します。ただし、所得税や法人税、消費税は経費にはなりません。

20. 接待交際費

取引先との会食や贈答品などの費用です。交際費と似ていますが、会社の規模によって損金算入の限度額が異なります。

個人事業主の場合、税務調査に入られる確率は0.5%〜1%程度と言われていますが、無作為に選ばれるわけではありません。経費に不審な点がある場合は調査対象になりやすいので注意が必要です。

特に現金商売である飲食店は、売上の過少申告や経費の過大計上がないか厳しくチェックされます。日々の記帳をしっかり行い、領収書や請求書などの証憑書類は最低7年間保管しておきましょう。

皆さんは経費計上に自信がありますか?

補助金・助成金の活用も忘れずに

経費の管理と並行して、補助金や助成金の活用も検討すべきです。2025年現在、飲食店が活用できる主な補助金には以下のようなものがあります。

  • 小規模事業者持続化補助金(最大250万円、補助率2/3)
  • IT導入補助金(最大450万円、補助率1/2〜4/5)
  • ものづくり補助金(最大8,000万円、補助率最大2/3)
  • 中小企業新事業進出促進補助金(750万円〜7,000万円、補助率1/2)

特に小規模事業者持続化補助金は、従業員5人以下の飲食店が活用しやすい制度です。店舗改装費やチラシ・Web広告費、設備購入費などが対象になります。

飲食店の経費管理を効率化するためのツール3選

最後に、経費管理を効率化するためのツールについて紹介します。適切なツールを活用することで、経理作業の負担を大幅に減らすことができます。

25年間飲食業界にいて感じるのは、多くの個人店オーナーが経理作業に苦手意識を持っているということ。でも、今はそんなオーナーをサポートするツールがたくさんあるんです。

1.クラウド会計ソフト

銀行口座やクレジットカードと連携して、自動的に取引を記録してくれるクラウド会計ソフトは非常に便利です。スマホで領収書を撮影するだけで経費データが作成できるものもあります。

僕が新宿の店舗で導入したクラウド会計ソフトは、経理作業の時間を月30時間も削減してくれました。その時間を接客や商品開発に使えるようになり、結果的に売上アップにつながったんです。

2.レジ・POSシステム

売上と在庫を一元管理できるPOSシステムも、経費管理に役立ちます。特に食材の仕入れと使用量を紐づけることで、無駄な発注を減らし、原価率を適正に保つことができます。

IT導入補助金を活用すれば、最新のPOSシステムを比較的低コストで導入することも可能です。

3.経費精算アプリ

従業員の経費精算をデジタル化するアプリも便利です。領収書をスマホで撮影して申請できるため、紙の領収書の管理や手作業での集計が不要になります。

飲食店は毎日の現金のやり取りが多いビジネスです。だからこそ、デジタルツールでしっかり記録を残していくことが大切だと思います。

飲食店経営において、経費は常に見直しが必要な重要項目です。

経費の中でも、どこをどう削減すればよいかは、以下の記事で具体策を紹介しています。

➤関連記事:飲食店の利益率を上げる20の経費削減アイデア

まとめ

楽しくなければ飲食店じゃない。でも、経営の基本をしっかり押さえていないと、その「楽しさ」も長続きしません。経費管理は地味な作業に思えるかもしれませんが、店の未来を左右する重要な仕事なんです。

皆さんの店舗経営が少しでも楽になるよう、この記事が役立てば嬉しいです。

飲食店経営でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。25年間の現場経験を活かして、皆さんの店舗に合ったアドバイスをさせていただきます。

飲食業界で25年、「美味しい」と「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー岡本にevisu公式LINEにてご相談ください。

岡本優

飲食店経営伴走型パートナー

もう、一人で悩まない。
あなたの店の「右腕」になります。 

利益改善、集客強化、人材育成、オペレーション改善まで、
経営のあらゆる課題に、オーナー様と同じ目線で
共に答えを見つけ出します。 

現場力とマーケティング力を掛け合わせた、
evisuだけが提供できる継続的なパートナーシップです。

飲食店の課題の答えは、すべて現場にあります。
私の仕事は、その答えをオーナー様と共に見つけ出すこと。

飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてまいりました。株式会社サッポロライオン「銀座ライオン」にアルバイトにて入社後、ひたすら経営と現場に没頭する中で、新宿店、そして800席を超える銀座本店の総支配人を拝命。

赤字店舗の再建を託される機会も多く、お客様とスタッフ双方の満足度向上を軸としたアプローチで、全ての担当店舗を黒字化へ導いた経験は、私の大きな財産です。

しかし、多くの飲食店が未来に不安を抱えている現状を目の当たりにし、この経験を業界全体のために活かしたいという想いが日に日に強くなりました。そこで2025年、株式会社evisuを設立。25年間現場で培ったリアルなノウハウを、同じ志を持つ経営者の皆様と分かち合い、共に困難を乗り越えるパートナーでありたいと考えております。

「楽しくなければ飲食店ではない」を信念に、皆様のお店が笑顔で溢れる場所になるよう、全力でサポートいたします。

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