こんにちは!飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本です。
飲食店の経営において「コスト削減」することは「売上を増加させる」ことと同じくらい大切なんです。特に今の時代、食材価格や人件費の高騰、安全基準の厳格化など、飲食店経営を取り巻く環境はどんどん厳しくなっています。
僕は25年間、飲食業界の最前線で現場と経営の両方を経験してきました。アルバイトからスタートして、店長、総支配人と経験を積み、様々な業態の店舗に携わってきました。その経験から言えるのは、売上を伸ばすことも大事ですが、コスト削減はもっと即効性があるということ。
抜本的にコストを削減することで支出を減らせば、営業利益ベースで数%の利益率を改善することも十分可能なんです。コスト削減の手法は一定の形があって、その手法に沿って取り組めば効率的に効果を得ることができます。そういう意味では売上を増加させることよりも効果を上げやすいと言えるでしょう。
この記事では、僕の経験と最新の業界動向を踏まえて、飲食店の利益率を上げるための具体的な経費削減アイデアを20個紹介します。明日からすぐに取り組めるものから、中長期的に効果を発揮するものまで幅広くカバーしているので、ぜひ自分のお店の状況に合わせて取り入れてみてください。
飲食店の経費削減の前に構造を理解する
経費削減に取り組む前に、まずは飲食店のコスト構造をしっかり理解することが大切です。飲食店には大きく分けて「固定費」と「変動費」の2種類のコストがあります。
固定費 | 店舗の賃料、利息、税金、リース料、社員給与など、売上の増減に関わらず必ず発生するコストです。 名前の通り金額が固定されているため、経費削減の対象としては少し難しい面があります。 |
変動費 | 店舗の売上の増減によって変動するコストで、食材や備品の仕入れ代、水道光熱費、人件費(アルバイト給与)、販売促進費などが含まれます。 お客様が増えれば食材の仕入れ量も増え、調理する量や機会が増えることで水道光熱費も増加します。 |

経費削減に取り組むなら、コントロールしづらい固定費よりも、ある程度コントロールできる変動費での削減に取り組むべきです。特に飲食店では食材の仕入れ代と人件費がコストの多くを占めるため、これらを中心に見直していくことが効果的です。
飲食店では、FLコストという指標も重要です。FLコストとは食材(FOOD)と人件費(Labor)を合計したコストのことです。
FLコストを売上高で割った金額をFL比率と呼び、飲食店の経費の目安として60%未満にすべきとされています。
FL比率=(食材費+人件費)÷売上高 |
まずは、自分のお店のFL比率を計算してみることから始めてみましょう。
食材費を削減する5つのアイデア
食材費は飲食店の主要なコストの一つです。ここを効率化するだけでも、利益率は大きく改善します。

1. 仕入れ先の見直しと価格交渉
複数の業者から見積もりを取り、価格競争を促すことで、より良い条件を引き出すことができます。特に今の時代、食材価格は変動が激しいので、定期的な価格交渉は必須です。
2. 在庫管理の徹底
過剰な在庫は食品ロスや廃棄の原因になり、コストを無駄にするだけでなく、品質低下を招くリスクもあります。反対に在庫不足は、注文に対応できず機会損失につながることがあるため、適切な在庫管理が必要です。
3. メニューの最適化
売れ筋や利益率の高いメニューを優先し、逆に注文が少なく原価率の高いメニューを減らすことで、利益を最大化できます。また、食材の共通化を図ることで、仕入れコストや廃棄ロスを削減できます。
例えば、全メニューの原価計算を見直し、原価率の高いメニューを5品削減して、代わりに同じ食材を使った別メニューを開発するなども効果的です。ただし単純に原価率が高いからメニューを外すのではなく、払い出しをきちっと分析することも重要です。せっかく売れ筋メニューなのに原価率が高いということでやめてしまってはお客様満足が下がってしまいます。
4. 食材ロスの削減
調理過程での食材ロスを減らすために、スタッフへの教育や調理手順の見直しを行いましょう。例えば、野菜の皮や端材を活用したスープやソースの開発など、食材を無駄なく使い切る工夫も効果的です。
僕が担当した店舗では、オーダーミスについても併せて指導します。オーダーミスをすると廃棄するしかないことがあります。それは食材を捨てるということ。オーダーミスをしない(防ぐ)理由は5つあります。
①お客様へのご迷惑がかかる
注文を間違えてしてしまうと再度調理する必要があり、お客様の待ち時間がかかります。特にランチタイムは休憩時間が1時間しかなく、時間が無くて名移転してしまうお客様も。
②別のテーブルのお客様へのご迷惑
提供する料理が違うということは再度調理する必要があります。その際、他のお客様のお料理も遅れることになります。
③客席スタッフへの迷惑
同じホールスタッフはミスのフォローにまわってくれます。伝票の修正やお客様フォローなど。
④調理スタッフへの迷惑
調理スタッフは再度料理を作る必要があります。
⑤食材ロスへの問題
先ほども伝えたとおり、間違えた料理は破棄するしかない状況になります。これはフードロスにおいても問題です。
5. 季節や地産地消を意識した仕入れ
旬の食材は一般的に価格が安く、品質も良いため、季節に合わせたメニュー展開を行うことでコスト削減と品質向上の両方を実現できます。
人件費を最適化する5つのアイデア
飲食店において人件費の最適化は、経営の安定に欠かせない要素です。ただし、単純に人員を削減するだけでは、サービスの質が低下してしまいます。

6. シフト管理の最適化
繁忙期や閑散期に応じて人員を調整することで、効率的にスタッフを運用し、コストを最小限に抑えることが可能です。過去の売上データを分析して、時間帯ごとの必要人員を算出し、最適なシフトを組みましょう。
僕が担当した店舗では、1時間ごとの売上データを分析してシフト調整をしました。ピーク時に人員を集中させ、閑散時間帯は最小限の人員で運営することで、月の人件費を削減できました。
7. マルチタスク化の推進
スタッフが複数の業務をこなせるようにトレーニングすることで、少ない人数でも効率的な運営が可能になります。例えば、ホールスタッフにレジ操作や簡単な調理補助も覚えてもらうことで、繁忙時の応援体制が整います。
新人スタッフほど多様なスキルを身につけたいと思っています。僕の経験では、マルチタスク化を進めた店舗ではスタッフの定着率も向上しました。成長を実感できる環境が、モチベーションアップにつながるんですね。
8. テクノロジーの活用
タブレットを使ったオーダーシステムやセルフレジの導入など、テクノロジーを活用することで人的作業を減らし、人件費を削減できます。初期投資は必要ですが、長期的に見ればコスト削減につながります。
あるファミレスチェーンでは、テーブルオーダーシステムを導入したことで、6人分の仕事を5人でこなせるようになり、人件費を約17%削減できました。お客様の満足度も上がったという副次効果もありました。
9. スタッフ教育の充実
スタッフのスキルアップを図ることで、業務効率が向上し、同じ時間でより多くの仕事をこなせるようになります。また、ミスによる食材ロスや再提供なども減らせます。
教育というと難しく考えがちですが、一つのテーマに絞って短いトレーニングを行うことも重要です。これを続けるだけで、スタッフの対応力が格段に上がり、クレームも減ります。
10. アルバイトの戦力化
アルバイトの業務範囲と責任を拡大する「質的基幹化」を進めることで、正社員に頼りすぎない組織づくりができます。評価・等級制度を設けて、スキルや役割に応じた昇給の仕組みを作りましょう。
これは単なるコスト削減ではなく、アルバイトのモチベーション向上にもつながります。僕の経験では、責任ある仕事を任されたアルバイトは、驚くほど成長してくれました。
エネルギーコストを削減する4つのアイデア
飲食店におけるエネルギーコストの削減は、固定費の大幅な節約につながる重要なポイントです。
11. 省エネ設備への投資
LED照明や省エネ型の調理機器、冷蔵庫などへの切り替えは、初期投資こそかかりますが、長期的に見ればコスト削減に大きく貢献します。
実際に僕が関わった店舗では、すべての照明をLEDに切り替えたことで、電気代が大幅削減できました。投資回収も達成できたので、その後はずっと利益に貢献しています。
12. 使用方法の見直し
調理機器の使い方を見直すだけでも、エネルギーコストは削減できます。例えば、オーブンの予熱時間の短縮や、複数の料理を同時に調理するなどの工夫が効果的です。
また、開店準備の際に、すべての機器を一度に電源オンにするのではなく、使用順に段階的に電源を入れることで、電力のピークを抑えられます。これだけで基本料金が下がることもあるんですよ。特に基本料金に大きく関わるのが夏のエアコン。8月のピークタイムの総電力をコントロールするだけで次年度の電力基本料金が下がることも。
13. 水道使用量の削減
節水コマの設置やレバー蛇口に変更、食器洗浄機の効率的な使用方法の見直しなどで、水道代を削減できます。また、水漏れチェックを定期的に行うことも重要です。
食器洗浄機を満杯になってから回すというルールを徹底したことで、水道代が削減できます。小さな積み重ねですが、年間で考えると大きな金額になります。
14. 電気・ガス会社の見直し
電力自由化に伴い、電気やガスの供給会社を選べるようになりました。複数の会社から見積もりを取り、最適なプランに切り替えることで、コスト削減が可能です。
最近では、再生可能エネルギーを使った電力プランも増えているので、環境に配慮しながらコスト削減できる可能性もあります。一度、現在の契約内容を見直してみる価値はありますよ。
その他の経費削減につながるアイデア6つ
食材費、人件費、エネルギーコスト以外にも、飲食店ではさまざまな経費削減の余地があります。
15. POSシステムの活用
POSシステムを導入することで、売上や在庫のデータをリアルタイムで把握でき、過剰な仕入れや無駄な在庫を減らせます。また、人気メニューや時間帯ごとの売上傾向も分析できるので、効率的な運営に役立ちます。
最近のPOSシステムは月額制のクラウド型も増えていて、初期投資を抑えられるようになっています。小規模店舗でも導入しやすくなっているので、検討する価値はあります。
16. 備品・消耗品の見直し
ペーパーナプキンやストロー、洗剤などの消耗品も、使用量の見直しや仕入れ先の変更で、コスト削減が可能です。また、食器や調理器具などの備品も、耐久性の高いものを選ぶことで、長期的なコスト削減につながります。
17. 広告宣伝費の最適化
効果測定を行いながら、最も費用対効果の高い広告媒体に集中投資することで、広告宣伝費を最適化できます。特にSNSなどの無料媒体を上手く活用することで、低コストで効果的な宣伝が可能です。
ただし、広告を減らし過ぎることは避けるべきです。集客を行うためのプロモーションは、特に新規顧客を獲得するためには不可欠です。適切な広告費用は、売上を上げるための投資と考えるべきでしょう。
18. 賃料の交渉
固定費の中でも大きな割合を占める賃料は、契約更新時に交渉の余地があります。特に長期契約を前提に値下げ交渉をすることで、オーナーも安定した収入を確保できるため、交渉に応じてくれることがあります。5年契約を条件に賃料を10%下げてもらえたケースもあります。不動産オーナーとの良好な関係構築が重要です。
19. 業務効率化ツールの導入
シフト管理や経理、在庫管理などの業務を効率化するツールを導入することで、バックオフィス業務の時間を削減し、人件費の削減につながります。
クラウド型の会計ソフトや、スマホで完結するシフト管理アプリなど、低コストで導入できるツールも増えています。導入時の教育コストはかかりますが、長期的に見れば大きなメリットがあります。
20. 共同購入の活用
同じエリアの飲食店と協力して、食材や消耗品を共同購入することで、スケールメリットを活かしたコスト削減が可能です。また、情報交換を通じて、効果的な経費削減のアイデアを共有することもできます。
経費削減で気をつけるべきポイント
経費削減は大切ですが、やり方を間違えると本末転倒になることもあります。最後に、経費削減で気をつけるべきポイントをお伝えします。

まず、品質やサービスを犠牲にするような経費削減は避けるべきです。食材の質を落とすことは短期的にはコスト削減につながりますが、顧客のリピート率を低下させることになるかもしれません。
また、従業員の労働環境を悪化させるような経費削減も避けるべきです。従業員が満足している職場は業績が向上するという調査結果もあります。スタッフのモチベーションを維持しながら、無駄を省く視点が大切です。
経費削減は一度やって終わりではなく、継続的に取り組むべき課題です。定期的にコスト構造を見直し、新たな削減ポイントを探していくことが大切です。
飲食店経営は本当に大変ですが、だからこそやりがいがあります。コスト削減と顧客満足の両立を図りながら、持続可能な経営を目指していきましょう。
皆さんのお店が、もっと楽しく、もっと利益の出る店舗になることを心から願っています。
飲食店経営でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。25年の経験を活かして、あなたのお店に合った経費削減策をご提案します。
飲食業界で25年、「美味しい」と「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー岡本にevisu公式LINEにてご相談ください。
岡本優
飲食店経営伴走型パートナー
もう、一人で悩まない。
あなたの店の「右腕」になります。
利益改善、集客強化、人材育成、オペレーション改善まで、
経営のあらゆる課題に、オーナー様と同じ目線で
共に答えを見つけ出します。
現場力とマーケティング力を掛け合わせた、
evisuだけが提供できる継続的なパートナーシップです。
飲食店の課題の答えは、すべて現場にあります。
私の仕事は、その答えをオーナー様と共に見つけ出すこと。
飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてまいりました。株式会社サッポロライオン「銀座ライオン」にアルバイトにて入社後、ひたすら経営と現場に没頭する中で、新宿店、そして800席を超える銀座本店の総支配人を拝命。
赤字店舗の再建を託される機会も多く、お客様とスタッフ双方の満足度向上を軸としたアプローチで、全ての担当店舗を黒字化へ導いた経験は、私の大きな財産です。
しかし、多くの飲食店が未来に不安を抱えている現状を目の当たりにし、この経験を業界全体のために活かしたいという想いが日に日に強くなりました。そこで2025年、株式会社evisuを設立。25年間現場で培ったリアルなノウハウを、同じ志を持つ経営者の皆様と分かち合い、共に困難を乗り越えるパートナーでありたいと考えております。
「楽しくなければ飲食店ではない」を信念に、皆様のお店が笑顔で溢れる場所になるよう、全力でサポートいたします。
