【2025年最新】飲食店が知っておくべき食中毒リスク5つ

飲食店が知っておくべき食中毒リスク5つ 店舗経営
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こんにちは!飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本です。

飲食店を経営していると、お客様に美味しい料理を提供することばかりに気が行きがちです。でも、実は私たちが常に意識しておかなければならないのが「食中毒リスク」なんです。

25年間、飲食業界の最前線で様々な業態の店舗を見てきた経験から言えるのは、食中毒は他人事ではないということ。最新の統計を見ると、2020年からの5年間で食中毒の発生場所は飲食店が約42%と最も多く、家庭の約19%を大きく上回っています。

食中毒が発生すると、お客様の健康被害はもちろん、営業停止や賠償金の支払いなど、店舗の存続にも関わる大きなダメージを受けることになります。特に2025年は気候変動の影響で例年より気温が高く、食中毒のリスクが高まっているんです。

「うちの店は大丈夫」と思っていても、ちょっとした油断が大きな事故につながります。今回は、2025年最新の情報をもとに、飲食店が特に注意すべき食中毒リスク5つと、その対策について解説します。

飲食店が特に注意すべき食中毒リスク5つ

1. カンピロバクターによる食中毒リスク

飲食店で最も発生件数が多い食中毒、それがカンピロバクターです。2020年から2024年の統計を見ると、飲食店での食中毒事故原因の第1位となっています。

カンピロバクターの怖いところは、少ない菌数でも発症するということ。特に鶏肉料理を提供する店舗では要注意です。

特に以下の対策を徹底することが重要です。

  • 鶏肉は中心部が75℃で1分間以上の加熱を必ず確認する
  • 生肉を扱った調理器具は他の食材に使わない
  • 調理器具の洗浄・消毒を徹底する
  • 調理スタッフの手洗いタイミングを明確化する

特に鶏のたたきなど、生や半生で提供するメニューは、カンピロバクター食中毒のリスクが非常に高いです。「お客様に喜ばれるから」と安易に提供するのは避けるべきでしょう。

2. アニサキスによる食中毒リスク

近年急増しているのがアニサキスによる食中毒です。2020年から2024年の統計では、飲食店での食中毒原因の第2位となっています。

アニサキスは魚の内臓に寄生する寄生虫で、鮮度の良い魚でも存在する可能性があります。特にサバ、サンマ、イワシなどの青魚や、イカ、タラなどに多く見られます。

特に以下の対策を徹底することが重要です。

  • 魚の内臓は速やかに除去し、アニサキスがいないか確認する
  • 目視で確認できるよう、明るい場所で下処理を行う
  • 冷凍処理(-20℃で24時間以上)でアニサキスを死滅させる
  • 加熱調理(70℃以上)でアニサキスを確実に死滅させる

北九州市の食中毒発生状況を見ると、2025年に入ってからもアニサキスによる食中毒が発生しています。家庭での発生も多いですが、飲食店としても対策は必須です。

お客様に安全な魚料理を提供するためには、仕入れた魚の種類や季節によってアニサキスのリスクを把握し、適切な処理を行うことが大切です。

特に回転の速い繁盛店では、忙しさに紛れて確認が疎かになりがちなので要注意です。

3. ノロウイルスによる食中毒リスク

冬場に特に注意したいのがノロウイルスです。2020年から2024年の統計では、飲食店での食中毒原因の第3位となっていますが、患者数では最多となることも多いんです。

ノロウイルスの厄介なところは、少量のウイルスでも感染し、感染力が非常に強いこと。また、アルコール消毒が効きにくいという特徴があります。

北九州市の2025年の食中毒発生状況を見ると、2月から3月にかけてノロウイルスによる食中毒が複数発生しています。オードブルや仕出し弁当が原因となったケースもあり、大人数に提供する料理では特に注意が必要です。

  • 調理スタッフの健康管理を徹底(体調不良者は調理業務から外す)
  • 手洗いは石けんと流水で60秒以上行う
  • 調理器具の洗浄・熱湯消毒を徹底する
  • 二枚貝(特にカキ)は中心部まで十分に加熱する
  • 調理場の定期的な清掃・消毒を行う

現場にいた時は、冬場は特に従業員の健康管理に気を配っていました。

万が一、店舗内で嘔吐が発生した場合には、ノロウイルス感染のリスクを最小限に抑えるため、正しい処理手順を知っておくことが不可欠です。

関連記事:飲食店での嘔吐対応マニュアル|感染拡大を防ぐ正しい処理方法は?

飲食店でノロウイルス食中毒が発生すると、大規模な集団感染につながりやすく、営業停止になります。年末年始の繁忙期に発生すると経営的なダメージも大きいので、予防対策は徹底すべきです。

4. 腸管出血性大腸菌(O157など)による食中毒リスク

重症化リスクが高い食中毒として注意すべきなのが、腸管出血性大腸菌(O157、O111など)です。北九州市の2024年の食中毒発生状況を見ると、4月に焼肉店で腸管出血性大腸菌O157による食中毒が発生しています。

腸管出血性大腸菌は、牛肉や牛レバーなどの牛肉製品に多く見られますが、野菜や水などを介して二次汚染されることもあります。特に重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもある怖い菌です。

焼肉店やハンバーグなど牛肉を提供する店舗では、以下の対策が必須となります。

  • 牛肉は中心部まで十分に加熱する(75℃で1分間以上)
  • 生肉と他の食材を分けて保管・調理する
  • 調理器具(トング、まな板など)の使い分けを徹底する
  • 手洗いの徹底(特に生肉を扱った後)
  • お客様にも十分な加熱の重要性を伝える

焼肉店では「お客様自身が焼く」という特性上、十分な加熱がされないリスクがあります。「レア好き」のお客様には、「牛肉の表面だけでも十分に焼くことで安全性が高まります」と丁寧に説明することも大切です。お客様の好みを尊重しながらも、食の安全を守る姿勢を示すことが信頼につながります。

5. 異物混入による食中毒・健康被害リスク

食中毒というと細菌やウイルスを思い浮かべますが、異物混入による健康被害も飲食店にとって大きなリスクです。異物が混入した食品を提供してしまうと、お客様がケガをするだけでなく、店舗の信頼も大きく損なわれます。

異物混入事故は、製造物責任(PL)事故の一つとして、損害賠償責任が発生する可能性があります。さらに、SNSなどで拡散されると風評被害も甚大です。

異物混入対策の基本は以下の通りです。

  • 原材料の受け入れ時に異物がないか確認する
  • 調理場での私物(アクセサリーなど)の持ち込み禁止
  • 調理器具の定期点検(欠けや破損がないか)
  • 盛り付け時の最終チェック(目視)体制の構築
  • 照明を明るくし、異物が見つけやすい環境を整える
  • 食品パッケージはハサミで開封する

異物混入防止で特に気をつけたいのが「昆虫」と「毛髪」です。これらは発生頻度が高く、お客様の不快感も大きいものです。空調管理や防虫対策、スタッフの身だしなみチェックを徹底しましょう。

また、万が一異物混入が発生した場合の対応マニュアルも準備しておくことをおすすめします。迅速かつ誠実な対応が、被害の拡大防止と信頼回復につながります。

食中毒リスクから飲食店を守るための実践的対策

ここまで5つの主要な食中毒リスクについて解説してきましたが、これらのリスクから店舗を守るためには、日々の地道な取り組みが欠かせません。

私が25年間の飲食業界経験で培った、食中毒予防の基本的な対策をご紹介します。

1. HACCPに基づく衛生管理の実践

2020年からHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が制度化されています。これは単なる法令遵守ではなく、効果的な食中毒予防のシステムです。

  • 重要管理点(CCP)の設定と管理基準の明確化
  • 温度管理記録の徹底(冷蔵庫、加熱調理など)
  • 定期的な衛生管理状況の確認と改善
  • 従業員への継続的な教育・訓練

HACCPは難しく考えがちですが、要は「何が危険か」を把握し、その危険を防ぐための具体的な対策を決めて、実行・記録・確認するという流れです。小規模な店舗でも、この考え方を取り入れることで食中毒リスクを大幅に減らせます。

HACCPの実践方法や衛生管理の具体的な進め方については、以下の記事でも詳しく解説しています。

関連記事:衛生管理を簡略化すると売上が上がる?飲食店の新常識

2. 従業員教育の徹底

どんなに良いマニュアルを作っても、従業員が理解し実践しなければ意味がありません。定期的な衛生教育と、日々の声かけが重要です。

私が店舗運営で特に重視していたのは、「なぜそうするのか」の理解です。単に「手を洗いなさい」ではなく、「手洗いが不十分だとこんな食中毒が発生する可能性がある」と具体的に説明することで、従業員の意識が変わります。

また、ベテランスタッフほど「自分は大丈夫」という過信があるので、定期的に基本に立ち返る機会を作ることも大切です。

3. リスク対策としての保険加入

どんなに予防対策を徹底しても、食中毒リスクをゼロにすることは難しいのが現実です。万が一の事態に備えて、適切な保険に加入しておくことも経営者の責任と言えるでしょう。

特に生産物賠償責任保険(PL保険)は、食中毒や異物混入による損害賠償責任をカバーするもので、飲食店には必須と言えます。また、休業補償がついた保険も検討する価値があります。

過去の事例を見ると、焼肉店でのO157食中毒では約1億6千万円、割烹料亭での食中毒では約1200万円の賠償金支払いが命じられています。こうした高額賠償に備えることは、店舗の存続のためにも重要です。

まとめ:食の安全は飲食店の基本中の基本

飲食店経営において、食の安全確保は売上や利益と同じくらい、いやそれ以上に重要です。食中毒が発生すれば、お客様の健康被害はもちろん、営業停止や賠償金、信頼喪失など、店舗の存続に関わる大きなダメージを受けることになります。

2025年の最新データを見ても、カンピロバクター、アニサキス、ノロウイルス、腸管出血性大腸菌、異物混入は依然として飲食店が直面する主要なリスクです。これらのリスクを正しく理解し、適切な予防対策を講じることが、お客様と店舗を守ることにつながります。

私が25年間の飲食業界経験で学んだのは、「食の安全に妥協はできない」ということ。どんなに美味しい料理も、安全でなければお客様に提供する資格はありません。

日々の地道な衛生管理の積み重ねが、最終的には店舗の評判と持続可能な経営につながります。「楽しくなければ飲食店じゃない」というのが私のビジョンですが、その前提として「安全でなければ飲食店じゃない」という意識を持ち続けることが大切です。

食中毒対策でお悩みの飲食店オーナーの方は、ぜひ専門家に相談してみてください。現場に即した具体的なアドバイスが、あなたの店舗を食中毒リスクから守る力になります。

飲食業界で25年、「美味しい」と「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー岡本にevisu公式LINEにてご相談ください。

岡本優

飲食店経営伴走型パートナー

もう、一人で悩まない。
あなたの店の「右腕」になります。 

利益改善、集客強化、人材育成、オペレーション改善まで、
経営のあらゆる課題に、オーナー様と同じ目線で
共に答えを見つけ出します。 

現場力とマーケティング力を掛け合わせた、
evisuだけが提供できる継続的なパートナーシップです。

飲食店の課題の答えは、すべて現場にあります。
私の仕事は、その答えをオーナー様と共に見つけ出すこと。

飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてまいりました。株式会社サッポロライオン「銀座ライオン」にアルバイトにて入社後、ひたすら経営と現場に没頭する中で、新宿店、そして800席を超える銀座本店の総支配人を拝命。

赤字店舗の再建を託される機会も多く、お客様とスタッフ双方の満足度向上を軸としたアプローチで、全ての担当店舗を黒字化へ導いた経験は、私の大きな財産です。

しかし、多くの飲食店が未来に不安を抱えている現状を目の当たりにし、この経験を業界全体のために活かしたいという想いが日に日に強くなりました。そこで2025年、株式会社evisuを設立。25年間現場で培ったリアルなノウハウを、同じ志を持つ経営者の皆様と分かち合い、共に困難を乗り越えるパートナーでありたいと考えております。

「楽しくなければ飲食店ではない」を信念に、皆様のお店が笑顔で溢れる場所になるよう、全力でサポートいたします。

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