こんにちは!飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本です。
「うちの店の売上、もっと上げたいけど、今の売上って業界的にどうなの?」
「他店と比べて自分の店の立ち位置を知りたい」
そんな疑問を持つ経営者の方に向けて、私の経験則に基づいた売上アップの情報をお伝えしたいと思います。
飲食店の売上を考える上で、最も重要な指標の一つが「坪単価」です。これは店舗の広さに対する売上の比率を表すもので、異なる規模の店舗間でも比較できる便利な指標なんです。
坪単価は、月間売上÷店舗面積(坪数)で計算します。 |
例えば、月商300万円の20坪の居酒屋なら、坪単価は15万円となります。
この数字、実は飲食店経営の健全性を測る重要なバロメーターなんです。
飲食店の坪単価とは?売上の目安は?
「どのくらいの坪単価が理想なの?」

飲食店を安定して経営するためには、坪単価は最低でも15万円が必要と言われています。業態によって差はありますが、一般的な居酒屋で坪単価20万円までが一般店、30万円を超えると繁盛店と言われているんです。
現場では、坪単価25万円を下回ると要注意、30万円を常に維持することを目標にしていました。それが店舗の健全経営の目安だったんです。
業態別に見ると、回転率の高いラーメン店や定食屋は坪単価が高い傾向にあります。一方、高級店は客単価が高くても回転率が低いため、坪単価だけで判断するのは難しいところです。
2025年の最新動向を見ると、コロナ禍を経て、居酒屋・バル業態でも坪単価売上が2019年コロナ前比率を超えて推移しているケースが増えています。特に、SNS活用やキャッシュレス決済、デリバリーを取り入れた店舗は、それらを導入していない店舗と比べて平均30%以上売上が高い水準にあるんです。
あなたの店の坪単価はどうですか?もし10万円を切っているなら、早急に対策が必要かもしれません。
坪単価を上げるための3つの基本戦略
坪単価を上げるには、大きく分けて3つの方法があります。

1. 客数を増やす戦略
2. 客単価を上げる戦略
3. 回転率を上げる戦略
飲食店の売上は、基本的に「来客数 × 客単価」というシンプルな式で成り立っています。そして、その「来客数」は「客席数 × 回転率」に分解できます。
「お客様は来ているのに、なぜか儲からない…」
「お店は暇なのに、なぜか忙しい…」
こうした悩みの答えは、この3つの要素のどこかに必ず隠されています。私が現場時代に最も力を入れたのは、この「来客数」「客単価」「回転率」のバランスを取ることでした。どれか一つだけを追い求めても、お店は歪んでしまいます。
自店の課題がどこにあるのかを見極め、的確な一手で改善していく。そのための戦略をそれぞれ具体的に見ていきましょう。
1. 来客数を増やす戦略
大切なのは「発見」と「再来店」
「一生懸命、美味しい料理を作っている。でも、なぜかお客様が増えない…」。その原因は、料理の味以前の、2つの大きな壁にあるかもしれません。
「発見」してもらう
どんなに素晴らしい店も、その存在を知られなければ、ないのと同じです。
店頭(ファサード)の整理整頓: 看板は、何のお店か一目で分かりますか?入口は明るく、清潔ですか?中の様子が少し見えるだけで、お客様の安心感は大きく変わります。店頭は、お店の「顔」であり、無言のセールスマンです。
Web・SNSでの存在感: 現代のお客様は、来店前に必ずスマホで検索します。Googleマップへの正確な情報登録、魅力的な写真が載ったグルメサイト、そしてお店の情熱が伝わるInstagram。Web上に存在しない店は、お客様の選択肢にすら入ることができません。
「再来店」してもらう
本当の勝負は、お客様が一度ご来店くださってからです。新規顧客の獲得コストは、リピーター維持の5倍かかると言われます。経営を安定させるには、リピーター様の存在が不可欠です。
パーソナライズされた記憶のサービス: お客様のお名前や、いつものご注文を記憶し、「〇〇様、いつもの生ビールでよろしいですか?」とお声がけする。この「特別なあなた」としてお迎えする小さな心遣いの積み重ねが、お客様との間に他にはない太い絆を作ります。
2. 客単価を上げる戦略
「満足度」が生み出す、もう一品
客単価アップは、お客様に無理強いすることではありません。満足度を引き上げることで、結果として「もう一品」「どうせなら良いものを」と自然に選んでいただく技術です。
- メニュー構成の工夫: メニューブックは「無口な営業マン」です。「上・中・下」の3つの価格帯を用意すれば、多くのお客様は真ん中を選びやすくなり、客単価は自然と上がります。「前菜とデザート付き」といった、お得感のあるセットメニューも非常に有効です。
- 追加のおすすめ(アップセル・クロスセル): 「売り込む」のではなく、「お客様の食事をより楽しくするお手伝い」という姿勢が鍵です。「本日限定のクラフトビールはいかがですか?(アップセル)」「そのお肉には、ガーリックライスが本当に合いますよ(クロスセル)」。この一言が、お客様の満足と売上の両方を引き上げます。
- サービス力の向上: 「岡本くんがいると、ついつい飲みすぎちゃうんだよな」。これは、私が常連様からいただいた最高の褒め言葉です。スタッフとの楽しい会話、気の利いたおもてなし。こうした居心地の良さがお客様の心と財布の紐を自然に緩め、結果として「もう一杯」に繋がるのです。
3. 回転率を上げる戦略
「心地よいスピード感」の追求
特にランチタイムや繁盛店において、回転率は売上を大きく左右します。ただし、これはお客様を急かすこととは全く違います。
- オペレーションの見直し: お客様の満足度を下げる最大の敵は、「無駄な待ち時間」です。ご案内、注文、料理提供、会計、片付けという一連の流れを止めないこと。F1のピットクルーのように、チーム全体でスムーズな流れを意識するだけで、お店の稼働率は劇的に向上します。
- 座席レイアウトの見直し: 4名席ばかりで、2名様のお客様が大きな席を占領していませんか? 2名席を増やし、必要に応じて結合できる「可変式レイアウト」にすることで、席の案内効率は大きく改善します。お一人様が過ごしやすいカウンター席も、回転率を支える重要な存在です。
- 時間のかかるメニューの洗い出し: ピークタイムに調理時間が20分かかるメニューに注文が集中すれば、キッチンはパンクします。スピードが求められる時間帯は、提供の早いメニューに絞り込む。あるいは、仕込みの工夫で調理時間を短縮する。このメリハリが、店全体のスムーズな運営を守ります。
これら3つの要素は、互いに影響し合っています。自店の課題がどこにあるのかを冷静に分析し、この3つの歯車のバランスを意識しながら改善を重ねていくこと。 それこそが、長く地域に愛される繁盛店への、唯一の道だと私は信じています。
賃料と売上のバランスを最適化する
坪単価を考える上で、もう一つ重要なのが賃料とのバランスです。

飲食店の家賃は、月間売上の10%以下に抑えるのが理想とされています。例えば、月商300万円なら家賃は30万円以下が望ましいということです。
超一等地にある店舗は坪単価は驚異の50万円以上でしたが、家賃も非常に高額。結果として利益率は郊外店よりも低いこともあります。
立地選びは坪単価に大きく影響します。駅前や商店街など便利な立地は家賃が高くなる傾向がありますが、その分集客も期待できます。一方、少し離れた場所でも、独自の魅力があれば十分に勝負できるケースもあります。
家賃負担率を下げるための工夫としては、営業時間の増加、店舗の空き時間活用(ランチとディナーの両方営業)、フードデリバリー・テイクアウトの導入などが効果的です。
要は、「売上÷家賃」の数値を常に意識し、10以上を維持することが健全経営の目安となります。あなたのお店はどうですか?
また、坪単価や家賃負担率だけでなく、原価率や利益率の管理も経営の安定には欠かせません。これらの指標をバランスよく把握することで、より精度の高い経営判断が可能になります。
成功事例から学ぶ飲食店の坪単価アップの秘訣
ここからは、実際に坪単価を大幅にアップさせた成功事例をご紹介します。
中目黒にある「魚魚郎」という店舗は、コロナ禍にもかかわらず2019年から売上を189%に増加させました。わずか7.62坪という小さな店舗ながら、価格帯や備品の見直し、Instagramでの発信強化により、優良顧客を獲得。口コミで広がる好循環を生み出したのです。
店主の方は必ずお店に立ち、お客様の様子を直接見ることで、時期ごとに細やかに対応。これにより店のブランド価値を維持することに成功しました。
小さな店舗だからこそできる「個性」「サービス」「独自性」「小回り」「専門性」「こだわり」「親しみやすさ」「融通」「地域密着」「接客」といった強みを最大限に活かしたケースです。
あなたの店にしかない強みは何ですか?それを徹底的に磨き上げることが、坪単価アップの近道かもしれません。
小さな飲食店の成功条件は「店舗力」と「人間力」です。
店舗力とは、立地や内装、設備などのハード面。人間資本とは、経営者やスタッフの人間力、技術、人脈などのソフト面を指します。
特に人間力は小さな店ほど重要です。私自身、現場一筋でキャリアを積んできましたが、最終的に店の成否を分けるのは「人財」だと確信しています。
坪単価を意識した経営改善の進め方
では、具体的にどのように坪単価を意識した経営改善を進めればよいのでしょうか。
STEP1: 現状分析と目標設定
まずは自店の坪単価を正確に把握しましょう。過去6ヶ月の月間売上と店舗面積から計算します。業態や立地を考慮した上で、目標とする坪単価を設定します。
例えば、現在の坪単価が12万円の居酒屋なら、まずは業界平均の15万円、その後繁盛店の目安である20万円を目指すといった具体的な数値目標を立てることが大切です。
STEP2: 売上構造の分析
次に、客数・客単価・回転率のどこに課題があるのかを分析します。POS データなどを活用し、時間帯別・曜日別・メニュー別の売上を詳細に分析しましょう。
ある店舗で行った分析では、平日ディナータイムの客単価が低いことが判明。そこで当日飲み放題付きコースを開発し、更に予約客向けの特典を設けたところ、平日の客単価が1.5倍に向上しました。
STEP3: 改善策の実行とPDCAサイクル
分析結果に基づき、具体的な改善策を実行します。重要なのは、一度に多くの施策を行うのではなく、優先順位をつけて一つずつ実行し、効果を測定すること。
「楽しくなければ飲食店じゃない!」
これは私の信条ですが、改善活動も楽しみながら進めることが大切です。スタッフを巻き込み、全員で坪単価アップに取り組む雰囲気づくりも成功の鍵となります。
まとめ:坪単価から考える持続可能な飲食店経営
坪単価は単なる数字ではなく、あなたの店の健全性を表す重要な指標です。
飲食店を安定して経営するためには、坪単価15万円以上を目指し、業態に応じた理想値(居酒屋なら20〜30万円)に近づけていくことが大切です。
坪単価を上げるためには、「来客数増加」「客単価アップ」「回転率向上」の3つの視点から戦略を立て、バランスよく実行することがポイントです。また、賃料と売上のバランスを最適化し、家賃負担率を10%以下に抑えることも健全経営の秘訣です。
小さな飲食店ほど「人間力」が重要です。経営者自身の人間力、スタッフの人間力、技術、人脈を最大限に活かし、お客様との信頼関係を構築していきましょう。
最後に、坪単価を上げることは目的ではなく手段であることを忘れないでください。最終的に目指すべきは、お客様、従業員、そして経営者の「三方良し」の関係です。
一緒に、強くて愛されるお店を作っていきましょう!
もし飲食店経営でお悩みがあれば、飲食業界で25年、「美味しい」と「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー岡本にevisu公式LINEにてご相談ください。
岡本優
飲食店経営伴走型パートナー
もう、一人で悩まない。
あなたの店の「右腕」になります。
利益改善、集客強化、人材育成、オペレーション改善まで、
経営のあらゆる課題に、オーナー様と同じ目線で
共に答えを見つけ出します。
現場力とマーケティング力を掛け合わせた、
evisuだけが提供できる継続的なパートナーシップです。
飲食店の課題の答えは、すべて現場にあります。
私の仕事は、その答えをオーナー様と共に見つけ出すこと。
飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてまいりました。株式会社サッポロライオン「銀座ライオン」にアルバイトにて入社後、ひたすら経営と現場に没頭する中で、新宿店、そして800席を超える銀座本店の総支配人を拝命。
赤字店舗の再建を託される機会も多く、お客様とスタッフ双方の満足度向上を軸としたアプローチで、全ての担当店舗を黒字化へ導いた経験は、私の大きな財産です。
しかし、多くの飲食店が未来に不安を抱えている現状を目の当たりにし、この経験を業界全体のために活かしたいという想いが日に日に強くなりました。そこで2025年、株式会社evisuを設立。25年間現場で培ったリアルなノウハウを、同じ志を持つ経営者の皆様と分かち合い、共に困難を乗り越えるパートナーでありたいと考えております。
「楽しくなければ飲食店ではない」を信念に、皆様のお店が笑顔で溢れる場所になるよう、全力でサポートいたします。
