こんにちは!飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本です。
飲食店の経営において「うちの売上は適正なのか?」という疑問を持ったことはありませんか?
飲食店の適正月間売上とは、単に「高ければ良い」というものではなく、店舗の規模や業態、立地条件などによって大きく異なります。適正な売上目標を設定することは、持続可能な経営のための第一歩なのです。
席数や客単価、回転率によって適正売上は大きく変わります。月間売上3,000万円の店舗と500万円の店舗では、必要な人員体制もコスト構造も全く異なるのです。
この記事では、2025年最新のデータに基づいて、業態別の適正月間売上の目安や、売上を適正化するためのポイントを徹底解説します。
2025年の飲食業界動向と売上トレンド
まずは2025年の飲食業界全体の動向を押さえておきましょう。最新のデータから見えてくる傾向を理解することで、自店の立ち位置を客観的に把握できます。

2025年に入ってからの飲食店売上は、全体的に回復基調にあります。ポスタス株式会社の調査によると、2025年5月の飲食店売上は前年同月比103.7%と、前月から1.1ポイント増加しています。特に北海道地方では前年対比108.9%と高い伸びを示しています。
業態別に見ると、専門料理店や居酒屋では、ディナータイムの売上割合が高く、軽食・カフェや食事系ではランチタイムの売上割合が高い傾向が続いています。これは私が現場で見てきた傾向とも一致します。
また、キャッシュレス決済比率は全国で52.9%と高水準を維持しており、特にコード決済の比率が増加傾向にあります。この決済方法の変化は、会計業務の効率化やデータ分析の精度向上にもつながっているのです。
インバウンド需要も回復し、2024年の訪日観光客による消費総額は8.1兆円と過去最高を記録しました。特に韓国からのインバウンドが好調で、地方への波及効果も見られます。
これらのトレンドを踏まえた上で、業態別の適正月間売上について見ていきましょう。
飲食店の業態別の適正月間売上目安はいくら?
飲食店の適正月間売上は業態によって大きく異なります。ここでは主要な業態ごとの目安を解説します。
私が様々な業態の店舗を経験から言えるのは、売上の「適正さ」は単に金額の大小ではなく、その店舗の固定費や変動費とのバランスで決まるということです。

居酒屋の適正月間売上
居酒屋の場合、1日あたりの平均売上は10万円から30万円程度が一般的です。これを月間に換算すると、300万円から900万円が目安となります。
新宿のある居酒屋では、席数40席で月間売上600万円を達成していましたが、アルコール比率が高く、原価率を30%に抑えることで十分な利益を確保していました。居酒屋はディナータイムの売上比率が高いため、夜の時間帯の集客戦略が特に重要です。
カフェ・喫茶店の適正月間売上
カフェや喫茶店の1日平均売上は5万円から15万円程度で、月間では150万円から450万円が目安です。
カフェは昼間の時間帯に集客が集中するため、回転率を上げることが重要です。自由が丘のカフェでは、客単価は低めの800円でしたが、回転率を上げることで月間300万円の売上を安定して確保していました。
カフェでは滞在時間のコントロールと、テイクアウトメニューの充実が売上アップのカギになるんです。
ファミリーレストランの適正月間売上
ファミリーレストランは1日あたり20万円から50万円の売上が一般的で、月間では600万円から1,500万円が目安となります。
ファミリーレストランは終日営業が多く、ランチタイムとディナータイムの両方で安定した集客が必要です。郊外型のファミレスでは、平日のランチタイム強化と週末の家族向けプロモーションを組み合わせることで、月間1,200万円の売上を達成していました。
専門料理店の適正月間売上
焼肉、寿司、イタリアン、フレンチなどの専門料理店は、客単価が高めに設定できるため、1日15万円から40万円、月間で450万円から1,200万円が目安です。
専門料理店の成功例では、客単価8,000円、30席の店舗で月間800万円の売上を安定して確保していました。専門料理店は「特別な日に利用される」傾向があるため、リピート率を高める工夫が特に重要です。
立地・規模別の適正月間売上の違い
同じ業態でも、立地条件や店舗規模によって適正な月間売上は大きく変わります。私が現場で見てきた具体例をもとに解説します。
都心一等地の場合
銀座や新宿、渋谷などの都心一等地では、家賃が高額なため、それに見合った売上が必要です。例えば、銀座の40席のレストランでは、家賃が月100万円を超えることも珍しくありません。
この場合、月間売上1,000万円以上を目指す必要があるでしょう。客単価を高めに設定し、回転率よりも滞在時間と客単価のバランスを重視していました。
駅前・商業施設内の場合
駅前や商業施設内の店舗は、集客力は高いものの、賃料も相応に高くなります。こうした立地では、回転率を重視した運営が鍵となります。
新宿駅近くの30席のラーメン店では、客単価1,000円、回転率の高さを活かして月間600万円の売上を達成していました。商業施設内の場合は、施設全体の営業時間に合わせる必要があり、ピーク時の人員配置が特に重要です。
郊外・住宅地の場合
郊外や住宅地の店舗は、家賃は比較的抑えられますが、集客に工夫が必要です。こうした立地では、地域密着型の運営が成功の鍵となります。
埼玉県の住宅地にある50席の定食屋では、ランチタイムを中心に地元のお客様を固定客として確保し、月間400万円の売上で安定した経営を実現していました。郊外店では、固定客の獲得と客単価の安定が特に重要です。
立地によって戦略が大きく変わることがお分かりいただけたでしょうか?
月の適正売上を達成するために飲食店ができる具体的な戦略
ここからは、適正売上を達成するための具体的な戦略について解説します。私が現場で実践してきた方法をお伝えします。
客単価アップの戦略
客単価アップの基本は、お客様に「無理やり高いものを買わせる」のではなく、「お客様自身の選択で、より満足度の高い体験をしていただく」ことです。その結果として、自然と客単価が上がる。この「Win-Win」の状態を目指します。
1. メニュー構成 — “無言の営業マン”を育てる
メニューブックは、ただの品書きではありません。お客様の「選ぶ楽しさ」を演出し、自然とお店が売りたい商品へと導いてくれる、最も優秀な営業マンです。
- 「松竹梅」の法則で、選択をデザインする
多くの人は、3つの価格帯(松・竹・梅)が並んでいると、真ん中の「竹」を選びやすいという心理が働きます。これをメニューに応用します。
(例)サーロインステーキ- 【梅】サーロインステーキ: 2,800円
- 【竹】国産牛サーロインステーキ: 4,800円
- 【松】黒毛和牛サーロインステーキ: 6,980円
この場合、「竹」の国産牛サーロインステーキが、お店として一番売りたい、利益率も確保できるメニューです。「梅」があることで「竹」がお得に見え、「松」があることで「竹」が手頃に見える効果があります。お客様は自分で選んだ満足感を得られ、お店は客単価をコントロールできます。
- 「セットメニュー」でお得感と高単価を両立する
「当店人気メニュー大集結!】選べるパスタ&ピッツァのスペシャルディナーセットお一人様 3,980円、当店の看板メニューを心ゆくまでお楽しみいただける、コストパフォーマンス抜群のスペシャルセットです。前菜からデザートまで、シェフが腕によりをかけた人気の一皿一皿をご堪能ください。メインのパスタとピッツァは、お好きなものをメニューからお選びいただけます。」のようなセットメニューは非常に強力です。
お客様は「ピザ・パスタも選べて前菜からデザートまで付いてお得!」と感じますが、お店側はアラカルトで注文されるよりも確実に高い単価を確保できます。 - 「ちょい足し」できるトッピングやオプションを用意する
パスタの「大盛り+200円」や、ハンバーグの「チーズトッピング+150円」など、気軽に「ついで買い」できる小さなオプションは、客単価を少しずつ押し上げるのに非常に効果的です。
2. 提案方法 — “売り込み”を“おもてなし”に変える技術
スタッフの一言は、お客様の体験価値を大きく左右します。大切なのは「売り込む」のではなく、「お客様の食事をより豊かにするお手伝いをする」という姿勢です。
- 「ワンランク上」の体験を提案する お客様が注文しようとしているものより、少しだけグレードの高い商品を提案する技術です。
- お客様: 「ハイボールをお願いします」
- スタッフ: 「ありがとうございます。当店のハイボールは、+200円で国産プレミアムウイスキーに変更できますが、いかがいたしましょうか?香りが格別ですよ」
- 「最高の組み合わせ」を提案する
ご注文いただいた料理に、相性の良い別の商品を提案する技術です。- お客様: 「赤ワインのボトルと、チーズの盛り合わせをください」
- スタッフ: 「かしこまりました。でしたら、ご一緒に生ハムの盛り合わせはいかがですか?ワインの風味と相性が抜群で、よりお楽しみいただけますよ。ハーフサイズもご用意できます」
- 食後の「もう一押し」を忘れない
お食事が終わったお客様への「デザートとコーヒーはいかがですか?」は、客単価を上げる最後の、そして最大のチャンスです。「お腹いっぱいでも、当店のティラミスは別腹ですよ」といった、遊び心のある一言がお客様の心を動かします。
これらの戦略は、すべてお客様の満足度向上が土台にあります。お客様が「良いものを勧めてもらった」「最高の組み合わせで食事ができた」と感じてくださること。その満足感の積み重ねが、お店への信頼となり、未来の売上へと繋がっていくのです。
回転率向上のテクニック
回転率の改善とは、お客様を急かすことではありません。むしろ、お客様とスタッフ双方の「ストレス」と「無駄な時間」を徹底的に排除し、「心地よいスピード感」を提供した結果として、売上と満足度の両方を引き上げるための技術です。
1. 席の工夫 — 物理的な”席”解消する
お客様の流れを妨げている原因が、意外にもお店の「座席レイアウト」にあることは少なくありません。
- 「2名席」を主役に据え、可変式レイアウトを導入する
いつも行列ができるのに売上が伸び悩んでいた原因が、「4名様テーブル」ばかりのレイアウトにありました。2名様のお客様が大きな席を占領してしまい、席の案内効率(席効率)が著しく低下していたのです。
解決策は、2名様用のテーブルを基本とし、必要に応じてテーブル同士をくっつけて4名席や6名席にする「可変式レイアウト」です。これにより、どんな人数のお客様にも柔軟に対応でき、空席の無駄を最小限に抑えられます。 - 「カウンター席」の価値を最大化する
お一人様や二人組のお客様は、比較的滞在時間が短く、お店の回転率を押し上げてくれる、実は非常に大切なお客様です。カウンター席を「ただの空席を埋める場所」ではなく、厨房のライブ感が楽しめる特等席として演出したり、座り心地の良い椅子を用意したりすることで、積極的にお客様をご案内できる「稼ぐ席」に変えましょう。
2. オペレーション改善 — “流れ”を止めない技術
お客様の入店から退店までの一連の流れを、絶対に止めない、詰まらせない。これがオペレーション改善の核心です。
- 入店〜注文までの時間を短縮する
お客様のご来店にいち早く気づき、スムーズに席へご案内する。着席と同時にお水とメニューをお渡しする。この最初の数分間を短縮するだけで、お客様の満足度は大きく変わります。注文にセルフオーダーシステムを導入するのも非常に効果的です。 - 会計と片付け(バッシング)を“神速”化する
お客様の食事の終わり際を察知し、自然なタイミングで伝票をお渡しする。テーブル会計やキャッシュレス決済を導入し、レジ前の行列をなくす。そして、お客様がお帰りになったら、まるでF1のピットクルーのように、即座にテーブルを次のお客様のために完璧な状態にする。この退店後の一連の作業をシステム化し、数分短縮するだけで、1日にご案内できるお客様の数は大きく変わります。 - スタッフの多能工化(マルチタスク化)を進める
「私はホール担当だから、洗い物はしない」「キッチン担当だから、会計はできない」。こうした縦割りの意識は、ピークタイムのボトルネックを生み出します。全員が最低限のヘルプに入れるよう多能工化を進めることで、店全体のスムーズな流れが生まれます。
これらの工夫は、一つ一つは小さな改善かもしれません。しかし、この小さな改善の積み重ねが、お客様のストレスを無くし、従業員の負担を減らし、そしてお店の利益を最大化する、最も確実な道筋なのです。
固定費と変動費のバランス最適化
飲食店経営の生命線である「コストコントロール」について、**「固定費」と「変動費」**という2つの性質の違いを理解し、それぞれに最適な戦術を使い分ける方法を、私の経験を交えて解説します。
利益体質を作るコストコントロール戦術:固定費と変動費、攻めと守りの使い分け
飲食店の利益を圧迫するコストですが、これらは大きく2種類に分けられます。
- 固定費: 売上がゼロでも発生する、家賃や正社員人件費などの「守りのコスト」
- 変動費: 売上に比例して増減する、食材費やアルバイト人件費などの「攻めのコスト」
この二つをごちゃ混ぜにして、ただやみくもに「経費削減!」と号令をかけても、お店は疲弊するだけです。それぞれに適したアプローチで、賢くコストを管理することが、持続可能な経営体質を作る鍵となります。
1. 「固定費」コントロール戦略 — 年に数回の“戦略的”な見直し
固定費は毎月ほぼ定額で出ていくため、日々の努力で削減するのは困難です。だからこそ、契約前や年に一度のタイミングで、戦略的に見直すことが重要になります。
- 戦術① 人件費(正社員) → 「生産性」でコントロールする
「守りのコスト」である正社員の給与を安易に削るのは、サービスの質を落とし、店の未来を売るようなものです。ここで目指すべきは「人時生産性」の向上です。スタッフの多能工化(マルチタスク化)を進める研修に投資したり、ITツール導入で事務作業の負担を減らしたりすることで、同じ人員でもより高い価値を生み出せる「強いチーム」を育てます。 - 戦術② 地代家賃 → 大家さんとの関係値を高めて交渉する
家賃は最も重い固定費ですが、一度契約すると引き下げは困難です。しかし関係値を作る上げることによって家賃交渉することも可能になります。契約更新のタイミングは、周辺相場を材料に交渉できる数少ないチャンスです。 - 戦術③ その他契約費(リース、システム料、保険料など) → 「相見積もり」で最適化する
厨房機器のリース、POSレジや予約システムの利用料、各種保険料など、一度契約すると見直さなくなりがちな費用です。年に一度は必ず契約内容を確認し、複数の業者から相見積もりを取りましょう。品質を落とさずに、よりコストパフォーマンスの良いサービスへ切り替えることで、年間で数十万円単位のコスト削減に繋がることも珍しくありません。
2. 「変動費」コントロール戦略 — “毎日”の徹底管理
変動費は日々のオペレーションと直結しています。ここでの戦術は、**「無駄をなくす仕組み」**を現場に浸透させ、毎日徹底することです。
- 戦術① 原材料費 → 「ロス率」と戦う
変動費の王様である原材料費の削減で、絶対にやってはいけないのが「食材の質を下げる」ことです。お客様は正直ですから、必ず気づき、離れていきます。私たちが戦うべきは、「廃棄ロス」「オーバーポーション(盛りすぎ)」です。- 在庫管理の徹底: 「先入れ先出し」をルール化し、定期的に棚卸しを行う。
- 発注の精度向上: 過去の曜日別・時間帯別データから、必要な分だけを発注する。
- ポーション管理の標準化: レシピにグラム数を明記し、調理時は必ず計量する。 この地道な積み重ねが、食材費を確実に改善します。
- 戦術② 水道光熱費 → 「習慣化」で削減する
「塵も積もれば山となる」の代表格です。ガスコンロの種火はこまめに消す、食洗機は満杯になってから回す、エアコンの温度設定を管理するなど、スタッフ一人ひとりの小さな意識と行動が、月々の大きなコスト削減に繋がります。節水・節電を促すポスターなども効果的です。 - 戦術③ アルバイト人件費 → 「繁閑予測」で最適化する
予約状況や過去のデータを基に、来客数の繁閑を予測し、15分・30分単位で無駄のないシフトを組むことが重要です。暇な時間帯にスタッフが手持ち無沙汰になっている状態は、最も避けなければならないコストの無駄遣いです。
結論として、 コストコントロールの目的は、単にお金を節約することではありません。生み出された利益を、お客様への価値向上や、従業員の待遇改善といった**未来への「投資」**に回し、お店をさらに強く、魅力的にするためなのです。
適正な月間売上を設定するには、利益率や原価率の把握が欠かせません。数字を正しく理解しておくことで、売上だけでなく利益も伴った経営判断ができます。
季節変動を考慮した月間売上計画
飲食店の経営において、「季節変動」を無視した売上計画は、羅針盤を持たずに航海に出るようなものです。繁忙期に機会を逃し、閑散期に無駄なコストを垂れ流す原因となります。
私が現場で常に実践してきた、エリアと季節のリズムを読み解き、的確な手を打つための「季節変動を考慮した月間売上計画」の立て方を、具体的に解説します。
売上の波を乗りこなす!季節変動を考慮した月間売上計画 3ステップ
過去を知る(データ分析と季節指数の算出)
まず、自店の「売上のクセ」を客観的な数字で把握することから始めます。最低でも過去1年分(できれば2〜3年分)の月別売上データをご用意ください。
- 年間平均月商を算出する
- 年間の総売上高を12ヶ月で割り、1ヶ月あたりの平均売上を計算します。
- 例: 年間総売上 3,600万円 → 年間平均月商 300万円
- 月ごとの「季節指数」を算出する
季節指数とは、各月の売上が年間平均に対してどれくらい強い(または弱い)かを示す数値です。- 計算式: (その月の売上 ÷ 年間平均月商) × 100 = 季節指数
- 例:
- 2月の売上が240万円だった場合: (240万 ÷ 300万) × 100 = 80
- 8月の売上が330万円だった場合: (330万 ÷ 300万) × 100 = 110
- 12月の売上が420万円だった場合: (420万 ÷ 300万) × 100 = 140
この「季節指数」が、あなたの店の売上の波を示す、独自の羅針盤となります。この店の場合、「2月は平均より20%弱く、12月は40%強い」ということが一目瞭然です。
未来を読む(目標設定と計画への落とし込み)
過去のデータという羅針盤を使って、未来の航路図(売上計画)を描いていきます。
- 次年度の年間売上目標を設定する
- 前年度の実績を基に、現実的な成長率(例:10%アップ)を乗せて、年間の売上目標を決定します。
- 例: 前年度3,600万円 → 次年度目標 3,960万円 (約110%成長)
- 目標とする平均月商を算出する
- 例: 3,960万円 ÷ 12ヶ月 = 330万円
- 例: 3,960万円 ÷ 12ヶ月 = 330万円
- 季節指数を使って、月間売上目標を算出する これが最も重要なステップです。平坦な目標ではなく、季節の波を反映した現実的な月間目標を立てます。
- 計算式: 目標とする平均月商 × (その月の季節指数 ÷ 100) = 月間売上目標
- 例:
- 2月の目標: 330万円 × (季節指数 80 ÷ 100) = 264万円
- 8月の目標: 330万円 × (季節指数 110 ÷ 100) = 363万円
- 12月の目標: 330万円 × (季節指数 140 ÷ 100) = 462万円
これにより、「2月は264万円を必達し、12月は462万円を狙う」という、メリハリのついた現実的な計画が完成します。
策を練る(計画とアクションの連動)
数字だけの計画では意味がありません。その月の特性に合わせた「戦術」を事前に準備することが、計画達成の鍵を握ります。
- 繁忙期(指数110以上):12月、8月など
- テーマ: 機会損失の徹底防止
- 戦術例:
- 2ヶ月前からアルバイトの採用・教育を開始する。
- 忘年会や納涼会向けの、高単価・高利益率なコースメニューを開発する。
- 予約管理を徹底し、ダブルブッキングや案内の遅れを防ぐ。
- 食材の仕入れルートを複線化し、在庫切れを防ぐ。
- 閑散期(指数90以下):2月、6月など
- テーマ: 需要の創出と、未来への投資
- 戦術例:
- リピーター様限定の特別割引や、DMでの新メニュー案内を送付する。
- ファンミーティングなど、常連様向けのイベントを企画する。
- スタッフのスキルアップのための集中研修期間に充てる。
- 普段できないような、厨房の徹底的な清掃やメンテナンスを行う。
- その他の変動要因も考慮する
- カレンダー: 土日祝日の日数、大型連休の並び。
- 地域のイベント: 近隣のお祭り、コンサート、イベントの開催日程。
- 天候: 梅雨、猛暑、台風シーズンの影響。
季節変動を読んだ売上計画は、あなたのお店の経営における**「戦略の羅針盤」**です。この羅針盤を持つことで、あなたは単に日々の売上に一喜一憂するのではなく、未来の波を予測し、主体的に舵を取る「船長」になることができるのです。
まとめ:自店に最適な月間売上目標の設定方法
ここまで飲食店の適正月間売上について様々な角度から解説してきました。最後に、自店に最適な月間売上目標の設定方法をまとめます。
適正月間売上を設定する際は、以下のステップで考えることをお勧めします。
- 固定費(家賃、人件費、水道光熱費など)を把握する
- 目標利益を設定する(売上の10%程度が一つの目安)
- 想定される原価率と変動費率を計算する
- 上記を元に、必要最低限の月間売上を算出する
- 業態や立地の特性を考慮して、現実的な売上目標を設定する
- 季節変動を加味した月別の目標を設定する
例えば、固定費が月100万円、目標利益が30万円、原価率30%、変動費率20%の場合、必要最低限の月間売上は約200万円となります。これに業態や立地の特性、季節変動を加味して最終的な目標を設定します。
私が現場で長年見てきた経験から言えるのは、「無理な売上目標」よりも「達成可能で適正な利益を確保できる売上目標」の方が、長期的な成功につながるということです。
売上だけを追求するのではなく、「お客様満足」「従業員満足」「適正利益」のバランスを取ることが、持続可能な飲食店経営の鍵なのです。
一緒に、強くて愛されるお店を作っていきましょう!何か具体的なご質問があれば、いつでもご相談ください。
飲食店経営のお悩みは、飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、飲食業界で25年、「美味しい」と「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本にevisu公式LINEにてご相談ください。あなたの店舗に合った具体的なアドバイスをいたします。
岡本優
飲食店経営伴走型パートナー
もう、一人で悩まない。
あなたの店の「右腕」になります。
利益改善、集客強化、人材育成、オペレーション改善まで、
経営のあらゆる課題に、オーナー様と同じ目線で
共に答えを見つけ出します。
現場力とマーケティング力を掛け合わせた、
evisuだけが提供できる継続的なパートナーシップです。
飲食店の課題の答えは、すべて現場にあります。
私の仕事は、その答えをオーナー様と共に見つけ出すこと。
飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてまいりました。株式会社サッポロライオン「銀座ライオン」にアルバイトにて入社後、ひたすら経営と現場に没頭する中で、新宿店、そして800席を超える銀座本店の総支配人を拝命。
赤字店舗の再建を託される機会も多く、お客様とスタッフ双方の満足度向上を軸としたアプローチで、全ての担当店舗を黒字化へ導いた経験は、私の大きな財産です。
しかし、多くの飲食店が未来に不安を抱えている現状を目の当たりにし、この経験を業界全体のために活かしたいという想いが日に日に強くなりました。そこで2025年、株式会社evisuを設立。25年間現場で培ったリアルなノウハウを、同じ志を持つ経営者の皆様と分かち合い、共に困難を乗り越えるパートナーでありたいと考えております。
「楽しくなければ飲食店ではない」を信念に、皆様のお店が笑顔で溢れる場所になるよう、全力でサポートいたします。
