こんにちは!飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本です。
今日は多くの飲食店経営者が頭を悩ませている「値上げ」について、お話しします。
「値上げしたいけど、お客様が離れるのが怖い…」
この気持ち、痛いほど分かります。私も現場にいた頃、値上げの決断に何度も苦しみました。原材料費や光熱費の高騰、人材不足による人件費増加など、今の飲食業界は厳しい状況に直面しています。
でも、実は値上げは「必要な経営判断」であり、上手くやればお客様離れを防ぎながら利益を確保できるんです。
なぜ今、飲食店は値上げが必要なのか?
まず、現状を正しく理解しましょう。
2025年の今、飲食店を取り巻く環境は非常に厳しくなっています。原材料費の高騰は止まる気配がなく、多くの飲食店が影響を受けています。実に90%以上の飲食店が原材料の高騰に悩まされているというデータもあります。
原材料費の高騰は、当然ながら原価率にも大きく影響します。値上げを検討する前に、自店の原価率を正確に把握することが重要です。
→ 詳しくは「原価率40%は本当に高すぎる?飲食店経営の常識を疑え」をご覧ください。
小麦粉や食用油、鶏卵といった基本的な食材の価格上昇が著しく、飲食店の利益を大きく圧迫しています。さらに光熱費も2023年以降、電気・ガス料金が平均15〜25%上昇しているのです。
人材不足による人件費の高騰も深刻です。2025年度の最低賃金は、全国加重平均で時給1118円となる見通しです。これは2024年度の1055円から63円の引き上げとなり、過去最大の上げ幅となります。これにより、初めて全都道府県で最低賃金が1000円を超えることになります。
この引き上げは、2025年8月4日に厚生労働省の中央最低賃金審議会が示した目安によります。今後はこの目安を参考に各都道府県の地方最低賃金審議会が審議を行い、8月中に正式に決定され、2025年10月頃から順次適用される予定です。
値上げをためらっている方へ。
多くの経営者は「メニューを値上げしたら、お客様が離れてしまうのでは」と心配されています。無理もありません。長年、フードサービス業界は価格を上げない努力、値段を下げる努力ばかりを続けてきました。その感覚が染みついている方が大多数で、値上げをしたことのない経営者の方が多いはずです。
しかし、お客様は原材料費などが高騰している状況を理解しています。フードサービスの調査機関からは「消費者の7割程度が外食の値上げについて一定の理解を示している」という調査結果も発表されています。
飲食店が『値上げ』を成功させる7つの効果的な手法
では、どうすればお客様離れを防ぎながら値上げができるのか?
私が現場で培った経験と、最新の業界データから導き出した7つの効果的な手法をご紹介します。これらは実際に多くの店舗で成功している方法です。

1. 値上げの理由を丁寧に説明する
値上げの理由を正直に、そして丁寧に説明することが何よりも大切です。お客様は意外と理解してくれるものです。
店頭POPやSNS、公式LINEなどを活用して、「原材料費の高騰」「品質維持のため」といった理由を明確に伝えましょう。
例えば、「このたび、原材料や光熱費の高騰により、やむを得ず一部商品の価格を改定させていただきます。ご理解・ご協力を心よりお願い申し上げます。」というシンプルな文でも十分です。
ただし、「値上げします」という直接的な表現よりも「価格改定」「品質維持のためのお願い」といった表現の方が受け入れられやすいでしょう。
2. 段階的な値上げを行う
全メニューを一度に値上げするのではなく、段階的に行うことでお客様離れのリスクを減らすことができます。
まずは利益率の低いサイドメニューから値上げを始め、人気メニューは最後に回すという戦略です。実際に、ある町中華の成功事例では、人気商品5品は価格据え置きのまま、利益率の低いサイドメニューを先行して値上げしました。結果、客単価は7%アップしながらも来店数は維持できたのです。
あなたのお店でも、まずは影響の少ないメニューから始めてみてはいかがでしょうか?
3. 価格と価値のバランスを見直す
単純な値上げではなく、商品の価値も同時に高めることで、お客様の納得感を得られます。
例えば、少し量を増やす、品質の良い食材に変更する、見た目や盛り付けを工夫するなどの方法があります。「値上げをおこなう際は、料理の価格以上にお客様を満足させること」が重要なのです。
ぐるなびの調査によると、値上げを検討している飲食店に対して消費者が期待することとして「サービスの拡充」や「質や量を変えないで欲しい」、「質や量を向上してほしい」といった回答が多く寄せられています。
お客様は値上げそのものより、価値が下がることを恐れているのです。
4. 新メニューの導入と組み合わせる
値上げと同時に新メニューを導入することで、お客様の注目をポジティブな方向に向けられます。
ある成功事例では、ベーカリーが定番パン2品を20円値上げする一方で、「お値打ち価格」の新商品を追加しました。結果、値上げした商品の売上は維持しつつ、新商品が話題となって客数は微増したのです。
「値上げ」というネガティブな印象を「新メニュー登場」というポジティブな印象でカバーする戦略です。特に季節感のある限定メニューは効果的です。
飲食店が値上げの告知を上手く伝える方法
値上げを実施する際の告知方法も非常に重要です。
多くの飲食店が値上げの告知に失敗し、お客様の反感を買ってしまいます。どうすれば上手く伝えられるのでしょうか?
5. 複数の告知手段を活用する
値上げの告知は、できるだけ多くのお客様に伝わるよう、複数の手段を使いましょう。
店頭POPやメニュー表示はもちろん、SNS(Instagram、X[旧Twitter]、Facebook)、LINE公式アカウント、Googleビジネスプロフィールなど、あらゆるチャネルを活用するのがポイントです。
特に常連客が多いお店では、事前告知が重要です。突然の値上げはお客様を驚かせてしまいますが、1〜2週間前から告知しておけば、心の準備ができます。
「来月から一部メニューの価格を改定させていただきます」といった形で、余裕を持って伝えましょう。
6. 感謝の気持ちを伝える
値上げの告知と同時に、お客様への感謝の気持ちを伝えることも忘れないでください。
「いつもご愛顧いただき、誠にありがとうございます」「皆様のおかげで店舗を続けることができています」といった言葉を添えるだけで、印象は大きく変わります。
値上げは経営者にとって苦渋の決断です。その気持ちを正直に伝えることで、お客様の理解を得やすくなります。
あなたのお店を応援してくれるお客様は、あなたのお店が続いていくことを願っているはずです。
7. 常連のお客様への特別な配慮
値上げの際、特に気を配りたいのが常連のお客様への対応です。
常連のお客様は売上の安定化に貢献してくれる大切な存在。値上げ後も引き続き来店してもらうための工夫が必要です。
例えば、特別クーポンの配布や、ポイントカードの特典強化、会員限定の特別メニューの提供などが効果的です。「いつもご来店いただき、ありがとうございます!」という気持ちを形にして伝えましょう。
値上げ後のフォローアップ戦略
値上げを実施した後も、お客様の反応を注意深く観察し、必要に応じて戦略を調整することが大切です。

値上げ後、どのようなフォローアップをすべきでしょうか?
まず、お客様の反応を細かくチェックしましょう。来店頻度の変化、客単価の変化、SNSでの反応など、様々な角度から分析します。
もし客足が減少している場合は、追加の施策を検討する必要があります。例えば、期間限定キャンペーンの実施や、ポイント還元率の一時的な引き上げなどが効果的です。
どうですか?値上げは怖いことではなく、お店の未来のための重要な経営判断だということがわかりましたか?
私も何度か値上げを経験しました。最初は不安でしたが、お客様への丁寧な説明と価値の提供を心がけることで、むしろ客単価が上がり、結果的に売上アップにつながったのです。
まとめ:値上げは経営を守るための必要な決断
値上げは、単なる価格改定ではなく、お店の未来を守るための重要な経営判断です。
今回ご紹介した7つの手法をまとめると
- 値上げの理由を丁寧に説明する
- 段階的な値上げを行う
- 価格と価値のバランスを見直す
- 新メニューの導入と組み合わせる
- 複数の告知手段を活用する
- 感謝の気持ちを伝える
- 常連客への特別な配慮をする
これらを実践することで、客離れを最小限に抑えながら、必要な利益を確保することができます。
値上げは「お客様に負担をかける申し訳ないこと」ではなく、「お店とお客様の関係を長く続けるための必要なこと」と捉え直してみてください。
要は、値上げの本質は「お店の存続」にあるということです。お店が続かなければ、お客様に料理を提供することもできません。
飲食店経営は、お客様、従業員、そして経営者の「三方良し」が理想です。値上げもその視点で考えれば、必要な経営判断だと理解できるはずです。
一緒に、強くて愛されるお店を作っていきましょう!
飲食店経営でお悩みの方は、ぜひ飲食業界で25年、「美味しい」と「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本にevisu公式LINEにてご相談ください。現場目線での経営アドバイスをお届けします。あなたの店の未来を、応援しています!
岡本優
飲食店経営伴走型パートナー
もう、一人で悩まない。
あなたの店の「右腕」になります。
利益改善、集客強化、人材育成、オペレーション改善まで、
経営のあらゆる課題に、オーナー様と同じ目線で
共に答えを見つけ出します。
現場力とマーケティング力を掛け合わせた、
evisuだけが提供できる継続的なパートナーシップです。
飲食店の課題の答えは、すべて現場にあります。
私の仕事は、その答えをオーナー様と共に見つけ出すこと。
飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてまいりました。株式会社サッポロライオン「銀座ライオン」にアルバイトにて入社後、ひたすら経営と現場に没頭する中で、新宿店、そして800席を超える銀座本店の総支配人を拝命。
赤字店舗の再建を託される機会も多く、お客様とスタッフ双方の満足度向上を軸としたアプローチで、全ての担当店舗を黒字化へ導いた経験は、私の大きな財産です。
しかし、多くの飲食店が未来に不安を抱えている現状を目の当たりにし、この経験を業界全体のために活かしたいという想いが日に日に強くなりました。そこで2025年、株式会社evisuを設立。25年間現場で培ったリアルなノウハウを、同じ志を持つ経営者の皆様と分かち合い、共に困難を乗り越えるパートナーでありたいと考えております。
「楽しくなければ飲食店ではない」を信念に、皆様のお店が笑顔で溢れる場所になるよう、全力でサポートいたします。
