飲食店経営者必見!繁忙期と閑散期の売上格差を埋める方法は?

飲食店経営者必見!繁忙期と閑散期の売上格差を埋める方法は? 店舗経営
この記事は約20分で読めます。

こんにちは!飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本です。

今日は多くの飲食店経営者が頭を抱える「繁忙期と閑散期の売上格差」について、私の経験を交えながらお話しします。

繁忙期には店内が満席で売上も絶好調。でも閑散期になると客足が遠のき、売上が激減してしまう…。この波のある経営サイクルに悩んでいませんか?その気持ち、痛いほど分かります。

実は、この売上格差の問題は、飲食業界全体が抱える構造的な課題なんです。日本フードサービス協会の調査によると、多くの飲食店で繁忙期と閑散期の売上差は30%以上にもなることがあります。特に季節性の強い業態では、この差がさらに大きくなる傾向があります。

でも、諦める必要はありません。私が25年間の飲食業界経験で培った知識と、現場で実際に効果を上げてきた方法をお伝えします。一緒に、安定した経営基盤を作っていきましょう!

  1. 飲食店の繁忙期と閑散期の特徴を正確に把握する
    1. 飲食業界の一般的な繁忙期と閑散期
    2. 自店の売上データを徹底分析する
  2. 飲食店の閑散期を乗り切るための具体的な戦略
    1. 閑散期に効果的な集客施策
    2. 閑散期を繁忙期に変える、戦略的集客アプローチ
      1. アプローチ1:既存顧客(リピーター)との絆を深める「特別感」の演出
      2. アプローチ2:新規顧客の「目的来店」を創り出す「体験価値」の提供
      3. アプローチ3:視点を変えた「未来への投資」活動
    3. 閑散期のコスト管理と効率化
    4. 閑散期のコスト管理と効率化戦術:守りながら攻める「筋肉質経営」の実現
      1. 1. 変動費の最適化:日々のオペレーションにメスを入れる
        1. 【F】原材料費:ロス率ゼロを目指す精密管理
        2. 【L】人件費:時間を「コスト」から「資産」へ転換する
      2. 2. 固定費:聖域なき見直し
      3. 3. 業務効率化:繁忙期に備えたオペレーションの再構築
  3. 飲食店の繁忙期の売上を最大化する方法
    1. 繁忙期売上最大化の戦略:準備8割で戦いが決まる
      1. フェーズ1:繁忙期「前」の準備・仕込み(今、やるべきこと)
      2. フェーズ2:繁忙期「中」の実行・徹底(戦いの本番)
      3. フェーズ3:繁忙期「後」の次への布石(未来への投資)
  4. 繁忙期・閑散期関係なく、年間を通じた飲食店経営安定のための長期戦略
    1. 永続する飲食店を創るための長期安定経営戦略
      1. 第1の柱:熱狂的な「ファン」の創造と関係深化
      2. 第2の柱:人が育ち、辞めない「組織」の構築
      3. 第3の柱:変化に対応する強靭な「経営基盤」の確立
  5. まとめ:繁閑の波に左右されない強い飲食店を目指して
    1. 【最終要約】飲食店・年間安定経営のための戦略的核心
      1. 1. 閑散期の集客:『価格』でなく『価値』で惹きつける
      2. 2. 閑散期のコスト管理:『削減』でなく『投資』へ転換する
      3. 3. 繁忙期の売上最大化:『準備』で勝負は決まっている
      4. 4. 年間を通じた長期戦略:『仕組み』で安定を創り出す
    2. 岡本優

飲食店の繁忙期と閑散期の特徴を正確に把握する

売上格差を埋めるための第一歩は、自店の繁忙期と閑散期のパターンを正確に把握することです。これは「見える化」の基本中の基本です。

店舗を担当して、私がまず取り組むのは過去3年分の売上データを月別・曜日別・時間帯別に分析することでした。すると、意外な発見がたくさんありました。例えば、一般的に閑散期と思われる1月でも、特定の曜日や時間帯には安定した需要があったのです。

飲食業界の一般的な繁忙期と閑散期

業態によって差はありますが、一般的な飲食店の繁忙期と閑散期は以下のようなパターンになります。

区分時期主なパターン
繁忙期12月忘年会・クリスマスシーズン
繁忙期3〜4月歓送迎会
繁忙期7〜8月ボーナス支給・夏休み
閑散期1~2月年始・新年会の反動期や気候
閑散期5〜6月梅雨時期
閑散期9月夏休み明け

ただし、これはあくまで一般論。要は、自店のデータを見ることが大切なんです。

自店の売上データを徹底分析する

まずは以下の項目を分析してみてください。

  • 月別売上の推移(過去2〜3年分)
  • 曜日別・時間帯別の売上パターン
  • 客単価と来客数の変動
  • 天候や地域イベントとの相関関係

私はこの分析で「毎月第3木曜日だけ極端にランチタイムの売上が落ちる」という不思議なパターンを発見しました。調べてみると、近隣の大企業が定例会議を開催する日で、普段のお客様が来店できなかったのです。こうした「見えない要因」を発見できるのも、データ分析の醍醐味です。

飲食店の閑散期を乗り切るための具体的な戦略

データ分析で自店の状況を把握したら、次は具体的な対策です。閑散期を乗り切るための戦略は大きく分けて「集客施策」「コスト管理」の二つがあります。

閑散期や繁忙期に関わらず売上を底上げするためには、日常的に実践できる集客アイデアも押さえておきたいところです。

関連記事:飲食店の売上アップにつながる20の実践アイデア

閑散期には特に力を入れることが重要です。なぜなら、繁忙期の利益だけでは年間を通した安定経営は難しいからです。

閑散期に効果的な集客施策

閑散期の集客は、単なる割引合戦に陥ってはいけません。それでは店のブランド価値を毀損し、利益を圧迫するだけです。我々が目指すのは、「この時期だからこそ、あのお店に行きたい」と思わせる、付加価値の高い施策です。

ターゲットを明確にし、目的別に3つのアプローチで戦術を組み立てましょう。


閑散期を繁忙期に変える、戦略的集客アプローチ

アプローチ1:既存顧客(リピーター)との絆を深める「特別感」の演出

最も重要視すべきは、いつも店を支えてくれている常連様です。閑散期は、彼らに感謝を伝え、より強固なファンになってもらう絶好の機会です。

  1. 「常連様限定」シークレットイベント
    • 内容: DMやLINEなど、クローズドなチャネルで常連様だけを招待し、「未発表の新メニュー試食会」「希少な日本酒の蔵元を招いたペアリング会」などを開催します。
    • 目的: 「自分は特別扱いされている」という優越感と満足感を提供し、ロイヤリティを劇的に高めます。参加されたお客様からの口コミ効果も絶大です。
  2. 「裏メニュー」の解禁
    • 内容: 通常は提供していない、シェフの気まぐれメニューや、常連様の好みに合わせた特別な一品を「この時期だけ」「あなただけに」提供します。
    • 目的: 来店の動機付けと、コミュニケーションのきっかけになります。「いつもの」で通じる関係性を超えた、一歩深い関係を築きます。
  3. 未来の来店に繋げる「お得」のプレゼント
    • 内容: 閑散期に来店されたお客様に、次回の繁忙期(忘年会シーズンなど)に使える「優先予約権」や「乾杯ドリンクサービス券」などを配布します。
    • 目的: 閑散期の売上を確保しつつ、未来の繁忙期の売上も先取りする、一石二鳥の施策です。

アプローチ2:新規顧客の「目的来店」を創り出す「体験価値」の提供

閑散期に、これまで来店したことのないお客様を呼び込むには、「価格」ではなく「価値」で勝負します。他店がやっていない、ユニークな体験を企画しましょう。

  1. 学びと食を組み合わせた「体験型イベント」
    • 内容: 「プロが教える出汁の引き方教室」「親子で楽しむピザ作り体験」など、飲食店のプロの技を体験できるイベントを開催します。参加費には、もちろんその後の食事代も含みます。
    • 目的: 地域のカルチャースクールのような役割を担い、新たな客層(ファミリー層、趣味のコミュニティなど)を開拓します。イベントの満足度が高ければ、通常営業時のリピートにも繋がります。
  2. 大胆な「テーマ特化」フェア
    • 内容: 例えば2月なら「牡蠣づくしフェア」、8月なら「世界の激辛グルメフェア」など、一つのテーマに特化し、通常ではありえないほどマニアックなメニューを揃えます。
    • 目的: ニッチでも、そのテーマに興味がある層には強烈に響きます。「〇〇を食べるなら、あの店しかない」という評判を生み、SNSでの拡散も期待できます。
  3. 異業種コラボレーション
    • 内容: 近隣の書店と組んで「本を読みながら静かに過ごす夜カフェ」、ヨガスタジオと組んで「ヨガの後のヘルシーディナー」など、他業種とコラボして新しい顧客体験を創造します。
    • 目的: パートナーの顧客層にアプローチできるため、自店だけではリーチできなかった新規顧客を獲得するチャンスが生まれます。

アプローチ3:視点を変えた「未来への投資」活動

店を閉めて売上をゼロにするのではなく、営業時間を短縮するなどして、未来の売上を作るための「種まき」に時間を投資します。

  1. 地域コミュニティへの出張サービス
    • 内容: 近隣のオフィスに従業員向けのランチを届けたり、地域のイベントやお祭りに屋台を出店したりします。
    • 目的: まずは店の味と名前を知ってもらうことが目的です。「あの時のあのお店だ」と思い出してもらい、未来の来店に繋げます。これは、スタッフにとっても普段と違う環境で働く良い刺激になります。
  2. SNS・コンテンツ発信の強化
    • 内容: 時間に余裕があるこの時期に、プロの料理動画、食材の豆知識、スタッフの紹介など、店の魅力を伝えるコンテンツを撮り溜めし、計画的にSNSやブログで発信します。
    • 目的: すぐに集客には結びつかなくても、地道な情報発信は店のファンを育て、ブランドイメージを向上させます。

これらの施策は、ただ空席を埋めるための一時しのぎではありません。 閑散期というピンチを、顧客との関係を深化させ、新たなファンを開拓し、未来の成長基盤を強化するチャンスへと転換させるための戦略です。

閑散期のコスト管理と効率化

閑散期のコスト管理は、単に経費を削るという消極的なものではありません。それは、「筋肉質な経営体質を作り上げ、次の繁忙期に備えて刀を研ぐ」という、極めて戦略的な活動です。

集客施策と連動させながら、無駄を削ぎ落とし、未来への投資へと転換する。そのための具体的な戦術を整理しましょう。


閑散期のコスト管理と効率化戦術:守りながら攻める「筋肉質経営」の実現

1. 変動費の最適化:日々のオペレーションにメスを入れる

売上が減少する閑散期は、変動費、特にFLコストのわずかな改善が利益に大きく貢献します。

【F】原材料費:ロス率ゼロを目指す精密管理
  1. メニューの絞り込みと集約
    • グランドメニューを縮小し、出数の少ないメニュー(特に、そのためにしか使わない食材があるもの)は思い切って休止します。
    • 代わりに、既存の食材を使い切るための「本日のおすすめ」や「賄いから生まれた裏メニュー」などを提供し、顧客満足度を維持しつつ食材ロスを徹底的に防ぎます。グランドメニュー:おすすめメニュー6:4ぐらいの割合に。
  2. 発注サイクルの短期化
    • 売上予測の精度が落ちる閑散期は、一度の発注量を減らし、発注頻度を上げる「小分け発注」に切り替えます。
    • これにより、過剰在庫を抱えるリスクを最小限に抑え、キャッシュフローの改善にも繋がります。
【L】人件費:時間を「コスト」から「資産」へ転換する
  1. データに基づく「適正シフト」の追求
    • 過去の閑散期の時間帯別売上データを再度分析し、本当に必要な人員数を見極めます。感覚に頼らず、「1人減らしても、15分減らしてもサービスレベルを維持できる時間帯はないか」を徹底的に検証します。
  2. 「アイドルタイム」の戦略的活用
    • お客様が少ない時間を「未来への投資時間」と明確に位置付け、タスクリストを事前に作成します。
      • トレーニング: 繁忙期にはできない、丁寧なロールプレイングや多能工化のための相互トレーニング。
      • メンテナンス: 厨房機器の分解清掃、店舗設備の修繕、DIYでの店内改装など。
      • マニュアル整備: オペレーションマニュアルの更新や、動画マニュアルの作成。
  3. 計画的な休暇取得の促進
    • 繁忙期に溜まりがちな有給休暇を、この時期に計画的に取得するようスタッフに促します。これは、スタッフのリフレッシュに繋がると同時に、繁忙期の人員不足リスクを低減させる効果もあります。

2. 固定費:聖域なき見直し

一度見直せば効果が継続する固定費は、時間のある閑散期こそ、じっくりと向き合うべきです。

  1. 水道光熱費の「見える化」と習慣化
    • ブレーカーごとにどの設備がどれだけ電気を使っているかを確認し、不要な機器の電源OFFを徹底します。
    • ピークタイム以外の空調設定温度を見直す、節水コマを導入するなど、スタッフ全員で取り組める小さな改善をリストアップし、習慣化します。
  2. 各種契約の相見積もりと交渉
    • POSレジ、清掃業者、BGM、インターネット回線など、全ての契約書を棚から出し、よりコストパフォーマンスの高いサービスがないか、相見積もりを取って比較検討します。

3. 業務効率化:繁忙期に備えたオペレーションの再構築

時間が作りやすい閑散期は、日々の業務プロセスそのものを見直す絶好の機会です。

  1. 「5S」の徹底による生産性向上
    • 整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)を徹底します。
    • 例えば、厨房内の調理器具の配置、ストックルームの棚の配置などを見直し、スタッフの動線を最適化します。1秒の短縮が、繁忙期には数十分、数時間の余裕を生み出します。
  2. 情報共有の仕組み化
    • 予約状況、顧客情報、日々の引継ぎ事項などを、特定の個人の記憶に頼るのではなく、誰でも見られるノートやクラウドツールで共有するルールを再徹底します。これにより、コミュニケーションロスによるミスや時間の無駄を防ぎます。

お気づきの通り、これらの施策は単なる経費削減ではありません。 閑散期に店の無駄を徹底的に洗い出し、オペレーションを磨き上げ、スタッフを教育することで、店全体の基礎体力を向上させる活動です。

この時期をどう過ごすかで、次の繁忙期に得られる利益の額は大きく変わってきます。 閑散期にしっかり「守り」を固め、「未来への仕込み」を行った店こそが、年間を通じて安定した成功を収めることができるのです。

飲食店の繁忙期の売上を最大化する方法

閑散期対策と同時に、繁忙期の売上を最大化することも重要です。せっかくのチャンスを逃さないよう、準備を万全にしましょう。

繁忙期の売上を最大化するための戦術を、「準備期」「実行期」「未来への投資期」の3つのフェーズに分けて整理します。


繁忙期売上最大化の戦略:準備8割で戦いが決まる

フェーズ1:繁忙期「前」の準備・仕込み(今、やるべきこと)

ここでライバルに圧倒的な差をつけます。

  1. 「儲かる」戦略的商品の開発
    • 繁忙期専用コースの設計: 忘年会・新年会・歓送迎会をターゲットに、複数の価格帯(松・竹・梅)のコースを設計します。ポイントは、「高利益率」かつ「提供オペレーションがシンプル」であること。繁忙期の厨房は戦場です。作りやすく、かつ価値を感じてもらえるメニュー構成が鍵となります。
    • アップセル・クロスセルの武器を準備: 「+500円でプレミアム飲み放題に変更可能」「コースに+1,000円で名物の〇〇を追加」など、予約時や来店時に客単価を引き上げるための魅力的な選択肢を用意します。
  2. 予約獲得の「先手必勝」
    • 早期予約特典の打ち出し(9月〜): 「10月中のご予約で幹事様1名無料」「スパークリングワイン1本プレゼント」など、他店に先駆けて予約を押さえるためのインセンティブを打ち出します。
    • 法人・団体へのアプローチ: 昨年の団体客リストや近隣のオフィスに、こちらから積極的にDMや電話でアプローチをかけ、需要を掘り起こします。
    • Web予約システムの最適化: 24時間予約を取りこぼさない体制を構築。コース内容やキャンセルポリシーを明記し、電話応対の手間を減らします。
  3. 鉄壁のオペレーション体制の構築
    • 人員計画と採用・教育: 必要な人員を算出し、早めに採用活動を開始します。新人スタッフには、繁忙期にオーダーが集中するドリンク作りや、コース料理の提供手順など、具体的な業務に特化したトレーニングを実施します。
    • シミュレーションの実施: 満席状態を想定し、厨房とホールの連携、料理提供のタイミング、お客様の動線などをシミュレーションします。ボトルネックになる箇所を事前に洗い出し、改善策を講じておきます。

フェーズ2:繁忙期「中」の実行・徹底(戦いの本番)

準備してきたことを100%実行し、売上の方程式 【売上= 客数×客単価+回転率】全てを最大化します。

  1. 回転率の最大化:時間との勝負
    • 予約時間のコントロール: 予約を「18:00〜20:00」「20:30〜22:30」のように2部制にする、滞在時間を2時間〜2.5時間で区切るなど、スマートな時間管理で1席あたりの売上を最大化します。
    • スピードと効率の追求: モバイルオーダーの導入や、ドリンクのおかわりを積極的に伺うなど、お客様を待たせることなく、注文から提供までの時間を短縮します。
  2. 客単価アップの徹底:最後のもう一押し
    • 「あと一品」の提案力: コースの合間や締めのタイミングで、「季節のデザートはいかがですか?」「食後酒に〇〇がおすすめです」など、スタッフ全員が自然におすすめできるトークを準備・徹底します。
    • 高付加価値商品の推奨: 飲み放題のメニューの中でも、少し高価な日本酒やワインを「本日のおすすめ」として紹介し、客単価の上乗せを狙います。
  3. 顧客満足度の死守
    • どんなに忙しくても、笑顔での接客、料理の品質、清潔な店内というQSCの基本を決しておろそかにしません。繁忙期に悪い印象を与えてしまっては、未来の売上を失うことになります。ここが、岡本さんの「現場力」が最も輝く部分です。

フェーズ3:繁忙期「後」の次への布石(未来への投資)

繁忙期は、多くの新規顧客と出会える最大のチャンス。この出会いを一期一会で終わらせません。

  1. リピーター化への転換
    • 「サンキュークーポン」の配布: お帰りの際に、閑散期(1月後半〜2月)に使える「次回来店時ドリンク1杯サービス券」などをお渡しし、再来店を促します。
    • 顧客情報の獲得: 会計時にLINE公式アカウントへの登録や、メルマガ登録を促し、継続的な関係を築くための接点を作ります。
  2. 徹底的な振り返りと分析
    • 繁忙期が終わったらすぐに、チーム全員で振り返りを行います。
      • どのコースが一番売れたか?
      • オペレーションで問題はなかったか?
      • お客様からのクレームや感謝の声は?
    • この分析結果こそが、来年の繁忙期をさらに成功させるための、最も価値ある財産となります。

繁忙期・閑散期関係なく、年間を通じた飲食店経営安定のための長期戦略

ここまで短期的な対策をお伝えしてきましたが、最終的な目標は「年間を通じた安定経営」です。そのためには長期的な視点での戦略が必要になります。

私が25年間の飲食業界経験で学んだのは、本当に強い店舗は「一時的な繁忙」ではなく「持続的な支持」を獲得していることです。

繁忙期、閑散期、それぞれの戦術について議論を重ねてきましたが、それら全てを包括し、企業の「背骨」となるものこそが、この「年間を通じた安定経営のための長期戦略」ですね。

天候に左右されない頑丈な船が、嵐の日も凪の日も、目的地に向かって着実に航海を続けられるように。我々がクライアントと築き上げるべきなのは、まさしくそのような、外部環境の変化に揺るがない「筋肉質でしなやかな経営体質」です。

これは、我々「株式会社evisu」が提供する価値の集大成とも言えるでしょう。 そのための戦略を、経営の根幹を成す3つの柱に整理しました。


永続する飲食店を創るための長期安定経営戦略

この戦略の目的は、目先の売上に一喜一憂する経営から脱却し、持続的な成長と利益を生み出す「仕組み」を構築することです。

第1の柱:熱狂的な「ファン」の創造と関係深化

お客様を、単なる「客数」という数字で捉えるのではなく、一人ひとりの顔が見える「ファン」として捉え、長期的な関係を築きます。ファンは、閑散期であっても店を支えてくれる最も大切な資産です。

  1. 顧客関係管理の徹底
    • 予約台帳やPOSデータを活用し、お客様の好み(好きな席、アレルギー、誕生日、好きなドリンクなど)を記録し、次回来店時に「〇〇さん、いつもの席をご用意しました」といったパーソナルな接客を実現します。これは、お客様にとって忘れられない体験となります。
  2. ブランド価値の向上と情報発信
    • 自分たちの店が「なぜ存在するのか」「どんな想いで料理を作っているのか」というストーリーを、SNSやブログ、店内報などを通じて一貫して発信し続けます。料理の美味しさだけでなく、その背景にある哲学や情熱に共感してもらうことで、お客様は「ファン」へと変わっていきます。
  3. コミュニティの醸成
    • お客様同士が繋がれるようなイベント(例:常連様限定のワイン会)や、オンラインサロンなどを通じて、店を中心としたコミュニティを創り上げます。店は「食事をする場所」から、人々が集う「サードプレイス」へと進化し、唯一無二の存在となります。

第2の柱:人が育ち、辞めない「組織」の構築

飲食店の源泉は、最終的には「人」です。スタッフが楽しく、誇りを持って働ける環境こそが、最高のサービスと料理を生み出します。

  1. 理念共有と権限移譲
    • 「楽しくなければ飲食店じゃない!」という経営理念を、日々の朝礼やミーティングで繰り返し伝え、全スタッフの共通言語にします。
    • マニュアル通りの接客だけでなく、スタッフ一人ひとりがお客様のために自ら考えて行動できるよう、裁量と権限を積極的に移譲します。これが、スタッフの成長とやりがいを最大化します。
  2. 教育制度の体系化とキャリアパスの提示
    • 新人研修から、リーダー研修、キャリアアップ制度まで、スタッフが長期的に成長できるキャリアパスを明示します。目標が明確になることで、日々の仕事へのモチベーションが高まり、離職率の低下に繋がります。
  3. DXによる業務負荷の軽減
    • 勤怠管理、受発注、予約管理などをデジタルツールで効率化し、スタッフが「人でなければできない仕事」、つまり、お客様とのコミュニケーションや調理といった本質的な業務に集中できる環境を整えます。

第3の柱:変化に対応する強靭な「経営基盤」の確立

どんな不測の事態が起きても揺らがない、強固な財務体質と事業構造を構築します。

  1. キャッシュフロー経営の徹底
    • 帳簿上の利益だけでなく、手元にある現金の流れ(キャッシュフロー)を最重要視します。売上の最低3ヶ月分程度の現金を内部留保として確保し、急な売上減少やトラブルにも耐えうる財務体力を維持します。
    • 常に損益分岐点を意識し、固定費の見直しなどを通じて、損益分岐点を低く抑える努力を継続します。
  2. 収益源の多角化(マルチチャネル戦略)
    • 店内飲食(イートイン)だけに依存するのではなく、収益の柱を複数持つことで経営リスクを分散します。
      • 中食事業: テイクアウト、デリバリー、近隣オフィスへの弁当販売
      • 外販事業: オリジナルのドレッシングやソース、レトルト商品などを開発し、店頭やECサイトで販売
      • オンライン展開: オンライン料理教室の開催や、レシピ動画の有料配信など

「熱狂的なファン」「人が育つ組織」「強靭な経営基盤」が強固に絡み合った時、飲食店は繁忙期・閑散期という波を乗りこなし、時代を超えて愛される「永続企業」へと進化できると、私は確信しています。

まとめ:繁閑の波に左右されない強い飲食店を目指して

今回は「繁忙期と閑散期の売上格差を埋める方法」について、私の経験と実践例をお伝えしました。最後に重要なポイントをまとめておきます。


【最終要約】飲食店・年間安定経営のための戦略的核心

1. 閑散期の集客:『価格』でなく『価値』で惹きつける

  • 最重要顧客(ファン)を徹底的に優遇する。 新規客を割引で追うのではなく、常連様限定のイベントや裏メニューといった「特別感」で絆を深め、閑散期の安定した土台を築く。
  • 「目的来店」を創出する。 「体験(料理教室など)」や「限定(尖ったフェア)」を企画し、「この時期だからこそ、あそこに行きたい」という強い動機を創り出す。

2. 閑散期のコスト管理:『削減』でなく『投資』へ転換する

  • 時間を「未来の資産」と捉える。 スタッフの空き時間を、トレーニング、マニュアル整備、徹底的な清掃・メンテナンスといった「未来の利益を生む活動」に計画的に充てる。
  • 変動費を精密にコントロールする。 食材の廃棄ロスゼロを目指したメニュー構成と発注、データに基づく1分単位での無駄なきシフト管理を徹底する。

3. 繁忙期の売上最大化:『準備』で勝負は決まっている

  • 勝負は繁忙期の「前」に準備8割で決まる。 利益率の高い専用コース開発、早期予約の獲得、鉄壁のオペレーション体制の構築といった**「周到な準備」**こそが全て。
  • 当日は「機会損失の撲滅」に全集中する。来客数・客単価・回転率の全てを最大化するため、客単価アップの徹底と高回転オペレーションを、顧客満足度を絶対に下げずに実行する。

4. 年間を通じた長期戦略:『仕組み』で安定を創り出す

  • 揺るぎない「ファンコミュニティ」を築く。 お客様を個人として捉え、関係性を深めることで、景気や季節変動に左右されない安定した支持基盤を構築する。
  • 人が辞めない「魅力的な組織」を作る。 理念共有と正当な評価、キャリアパスを提示し、スタッフの定着と成長を促す。強い組織こそが最高の品質とサービスを生む。
  • 収益源を多角化し、財務を強化する。 店内飲食だけに依存せず、中食・外販なども育ててリスクを分散し、十分なキャッシュを確保して不測の事態に備える。

飲食業界は確かに波のある業界です。でも、その波に翻弄されるのではなく、波を読み、時には自ら波を作り出すことができれば、安定した経営は十分に可能です。

私はこれまで数多くの飲食店の現場を経験し、様々な課題に直面してきました。その経験から言えるのは、「諦めずに工夫し続ける店」が最終的に生き残るということです。

答えは常に「現場」にあります。お客様の声、スタッフの気づき、日々の売上データ…これらに真摯に向き合い、小さな改善を積み重ねることが、大きな成果につながるのです。

繁忙期と閑散期の売上格差に悩むのは、あなただけではありません。多くの飲食店経営者が同じ課題を抱えています。でも、その中から抜け出し、安定した経営基盤を築くことは可能です。

一緒に、強くて愛されるお店を作っていきましょう!

さらに詳しい飲食店経営のアドバイスが必要な方は、ぜひ飲食業界で25年、「美味しい」と「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー岡本にevisu公式LINEにてご相談ください。

岡本優

飲食店経営伴走型パートナー

もう、一人で悩まない。
あなたの店の「右腕」になります。 

利益改善、集客強化、人材育成、オペレーション改善まで、
経営のあらゆる課題に、オーナー様と同じ目線で
共に答えを見つけ出します。 

現場力とマーケティング力を掛け合わせた、
evisuだけが提供できる継続的なパートナーシップです。

飲食店の課題の答えは、すべて現場にあります。
私の仕事は、その答えをオーナー様と共に見つけ出すこと。

飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてまいりました。株式会社サッポロライオン「銀座ライオン」にアルバイトにて入社後、ひたすら経営と現場に没頭する中で、新宿店、そして800席を超える銀座本店の総支配人を拝命。

赤字店舗の再建を託される機会も多く、お客様とスタッフ双方の満足度向上を軸としたアプローチで、全ての担当店舗を黒字化へ導いた経験は、私の大きな財産です。

しかし、多くの飲食店が未来に不安を抱えている現状を目の当たりにし、この経験を業界全体のために活かしたいという想いが日に日に強くなりました。そこで2025年、株式会社evisuを設立。25年間現場で培ったリアルなノウハウを、同じ志を持つ経営者の皆様と分かち合い、共に困難を乗り越えるパートナーでありたいと考えております。

「楽しくなければ飲食店ではない」を信念に、皆様のお店が笑顔で溢れる場所になるよう、全力でサポートいたします。

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