飲食店経営者必見!原価率30%以下の飲み物のメニュー戦略

飲食店経営者必見!原価率30以下の飲み物のメニュー戦略 店舗経営
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こんにちは!飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本です。

今日は飲食店経営の中でも特に重要な「ドリンクメニューの原価率戦略」についてお話しします。

飲食店経営において、フードメニューだけでなくドリンクメニューの戦略的な設計が利益を大きく左右することをご存知でしょうか? 実は私が現場時代、店舗の立て直しの一手は、ドリンクメニューの見直しだったんです。

多くの場合「美味しい料理」に力を入れがちですが、利益構造の面から見ると、原価率の低いドリンクメニューこそが経営を安定させる大きな要素になります。フードの原価率が高くても、ドリンクでうまくバランスを取れば、トータルの原価率を30%以内に収められるのです。

今回は、原価率30%以下を実現するドリンクメニュー戦略について、現場で培った経験と最新のトレンドを交えながらお伝えします。この記事を読めば、あなたのお店の利益率を高めるヒントが必ず見つかるはずです。

飲食店における原価率の基本(飲み物含む)と業態別の目安

まず、原価率とは何かをおさらいしておきましょう。原価率とは、販売価格に対する原価の割合のことです。

原価率(%)= 原価 ÷ 販売価格 × 100

例えば、仕入れ値が300円のドリンクを1,000円(税別)で提供する場合、原価率は30%となります。飲食業界では、月商や年商に対する原価率の目安が30%であることはもはや定説となっています。ただし、すべての商品の原価率を30%にするのではなく、総売上に対する総食材費の比率を30%にすることが重要です。

業態によっても原価率の目安は異なります。一般的な目安を見てみましょう。

  • レストラン:フードメニューの比率が高いため、原価率は全体で30~35%程度
  • 居酒屋:フードとドリンクのバランスが取れており、原価率は全体で28~32%程度
  • カフェ・喫茶店:コーヒーなどドリンク中心のため、原価率は全体で20~25%程度
  • バー:ドリンク中心で原価率は全体で15~20%程度

ある店舗では、フードの原価率が38%と高かったのですが、ドリンクメニューを見直して原価率20%以下のドリンクの提供比率を高めることで、全体の原価率を29%まで下げることができました。

では、なぜドリンクメニューが利益率向上の鍵を握るのでしょうか?

ドリンクメニューが利益率向上の鍵を握る理由

ドリンクメニューが飲食店の利益率向上に重要な理由は大きく3つあります。

原価率の低さがもたらす高利益率

ドリンクメニューは、フードメニューに比べて圧倒的に原価率が低いのが特徴です。フードメニューの原価率が一般的に28%前後~40%超えと高いのに対し、ドリンクメニューはビール類を除き、およそ25%以下と低く設定されています。

例えば、原価率40%のフードが10万円売れた場合、原価を引いた利益は6万円となりますが、原価率20%のドリンクが10万円売れた場合、原価を引いた利益は8万円となります。同じ売上でも2万円の利益差が生まれるのです。

私が実践したのは、高付加価値食材を使った原価率40%以上の看板料理メニューと、原価率15%以下のオリジナルカクテルを組み合わせる戦略でした。お客様は美味しい料理に満足し、ドリンク注文で店は利益を確保できるという好循環が生まれました。

調理時間の短さと人件費削減効果

ドリンクメニューは、注文を受けてから提供するまでにかかる時間が短く、フードメニューよりも手間をかけずに提供することが可能です。これは人件費の削減にもつながります。

フードメニューの注文が増えた場合、調理や提供に対応するためスタッフ増員など、人件費の支出を検討する必要がある場合もあります。一方でドリンクの追加注文が増えた場合にはオーナー1人で対応できるケースも多く、人件費や求人採用にかかる手間とコストも抑えやすいのです。

要は、ドリンクメニューは「少ない手間で高い利益を生み出せる」という、経営者にとって理想的な商品なんです。

トレンドを取り入れやすさと季節変化への対応力

原価率が低めで、かつ手間とコストを抑えて提供しやすいドリンクメニューなら、最新のトレンドを意識した新メニューや、季節感のある期間限定メニューなども気軽に取り入れやすいのが特徴です。

「フルーツハイボール」「シャインマスカットモヒート」など、トレンドや季節感を取り入れたドリンクメニューの提供でSNS映えするメニューを取り入れたり、工夫次第では少ない食材でも斬新なドリンクメニューにしたりできる可能性があります。

あるイタリアンのお店で季節限定のフルーツスパークリングカクテルを導入したときは、SNSでの拡散効果もあって売上が前年比115%になったことがあります。ドリンクメニューは、お店の魅力を高める重要な要素なのです。

原価率30%以下を実現する飲食店のドリンクメニュー設計のポイント

それでは、具体的に原価率30%以下を実現するドリンクメニュー設計のポイントを見ていきましょう。

ドリンクの種類別原価率を把握する

まずは、ドリンクの種類別に原価率を正確に把握することが重要です。一般的なドリンクの原価率は以下の通りです。

  • ビール:原価率40%前後(最も高い)
  • ワイン:原価率30~35%
  • 日本酒:原価率25~35%
  • 焼酎:原価率15~25%
  • ウイスキー:原価率15~25%
  • カクテル:原価率10~20%
  • ハイボール:原価率10~15%
  • サワー・チューハイ:原価率10~15%
  • ソフトドリンク:原価率10~20%
  • コーヒー:原価率10%前後

ある居酒屋店舗で実践したのは、ビールの原価率は高いものの集客力があるため、あえて原価率を抑えず適正価格で提供し、その代わりに原価率の低いハイボールやサワー類を充実させて、2杯目以降はそちらに誘導するという戦略でした。

原価率の低いドリンクを主力商品に

原価率の低いドリンクを主力商品として押し出すことで、全体の原価率を下げることができます。例えば、ハイボールやサワー類は原価率が10~15%と低いため、これらを目立つ位置にメニュー掲載したり、おすすめドリンクとして提案したりすることが効果的です。

ハイボールやサワーの種類を豊富に取り揃え、「当店自慢の○○ハイボール」「季節の△△サワー」といった形で付加価値を付けて提供することで、原価率は低いままに、お客様の満足度と客単価を上げることができます。

あるお店では、ハイボールを5種類から12種類に増やしたところ、ドリンク全体の原価率が25%から19%に下がり、利益率が大幅に改善した例もあります。

セット販売とアップセル戦略

フードとドリンクのセット販売は、ドリンク注文率を高める効果的な方法です。例えば、「パスタセット(パスタ+ドリンク)」や「ランチセット(メイン+サラダ+ドリンク)」などの形で提供することで、必然的にドリンク注文が増えます。

また、最初の注文後のアップセル(追加注文の促進)も重要です。「このパスタには赤ワインがよく合いますよ」「デザートと一緒にカフェラテはいかがですか?」といった提案を積極的に行うことで、ドリンク注文率と客単価を上げることができます。

スタッフ全員が「今月のおすすめドリンク」を必ず一つ提案するというルール。これだけで、ドリンクの注文率が15%も上がった店舗もあります。

オリジナルドリンクの開発と原価管理

オリジナルドリンクの開発も、原価率を下げるための有効な戦略です。市販のドリンクをそのまま提供するよりも、シロップやフルーツを使ったオリジナルドリンクの方が、原価を抑えつつも付加価値を高めることができます。

例えば、オリジナルレモネードやフルーツカクテルは、原材料費が安く済む割に、「オリジナル」という付加価値で高めの価格設定が可能です。また、季節のフルーツを使ったカクテルやモクテル(ノンアルコールカクテル)も、原価率を抑えつつ魅力的なメニューとなります。

お客様は「ここでしか飲めない」という特別感に価値を見出します。そこに注目して、オリジナリティを打ち出していくことが大切です。

業態別ドリンクメニュー戦略の具体例

業態によってドリンクメニューの戦略は異なります。ここでは、主な業態別の具体的な戦略を紹介します。

レストラン・カフェのドリンク戦略

レストランやカフェでは、フードメニューとの相性を重視したドリンク展開が効果的です。例えば、イタリアンレストランであれば、イタリアワインやエスプレッソ、アペリティフなどを充実させることで、本格的な食事体験を提供できます。

また、ランチタイムには、ドリンクセットやドリンクバーを設けることで、ドリンク注文率を高めることができます。ドリンクバーは一見すると原価率が高そうに思えますが、実際には多くのお客様が1~2杯程度しか飲まないため、適切な価格設定をすれば原価率を20%以下に抑えることも可能です。

あるカフェでは、コーヒー豆を厳選して「スペシャルティコーヒー」として提供することでした。原価は若干上がりましたが、付加価値として認識されて客単価が上がり、結果的に利益率が向上しました。

居酒屋・バーのドリンク戦略

居酒屋やバーでは、ドリンクが主役となるため、より戦略的なメニュー設計が求められます。生ビールは原価率が高いものの、最初の一杯として注文されることが多いため、適正価格で提供しつつ、2杯目以降はハイボールやサワー、カクテルなどの原価率の低いドリンクに誘導する戦略が効果的です。

また、「飲み放題」メニューも、適切に設計すれば原価率を抑えることができます。例えば、飲み放題の時間を90分に設定し、原価率の低いドリンクを中心に構成することで、原価率を20%程度に抑えることが可能です。

私が学んだのは、「推しドリンク」を設定して積極的に提案することの重要性です。スタッフ全員が自信を持っておすすめできるドリンクを用意しておくことで、お客様も選びやすく、注文率が上がります。

ファミリーレストランのドリンク戦略

ファミリーレストランでは、幅広い年齢層のお客様に対応したドリンクメニューが求められます。ソフトドリンクの種類を充実させるとともに、アルコールドリンクも手頃な価格で提供することが重要です。

特に効果的なのが、ドリンクバーやセットドリンクの提供です。例えば、お食事に+200円でドリンクバー付きにするオプションを設けることで、ドリンク注文率を高めることができます。また、キッズドリンクやファミリーサイズのドリンクなど、ファミリー層に特化したメニューも効果的です。

ある店舗では、ドリンクメニューを見直して「昔ながらのレモンスカッシュ」「懐かしのクリームソーダ」といったレトロ感のあるドリンクを導入したところ、若い女性客が増えて客層が広がったそうです。

どんぶり勘定から脱却して、しっかりと原価管理をすることで、利益率を高めることができるのです。

ドリンクメニュー成功のための実践的なヒント

最後に、ドリンクメニュー成功のための実践的なヒントをいくつか紹介します。

メニューブックのデザインと配置の工夫

メニューブックのデザインや配置は、ドリンク注文率に大きく影響します。原価率の低いドリンクを目立つ位置に配置したり、写真や説明文を充実させたりすることで、注文率を高めることができます。

例えば、メニューの最初のページや中央のページに原価率の低いドリンクを配置したり、「店長おすすめ」や「期間限定」といった表示を付けたりすることで、お客様の目に留まりやすくなります。

私が実践していたのは、季節ごとにメニューブックの表紙や特集ページを変えることでした。これだけでも、お客様の興味を引き、新しいドリンクへの注文率が上がります。

スタッフの教育とインセンティブ設計

どんなに素晴らしいドリンクメニューを用意しても、スタッフがそれを積極的に提案しなければ意味がありません。スタッフにドリンクの特徴や魅力、フードとの相性などを丁寧に教育し、自信を持って提案できるようにすることが重要です。

また、ドリンク注文率や特定ドリンクの販売数に応じたインセンティブを設けることも効果的です。例えば、「今月のおすすめドリンクの販売数トップのスタッフには特別ボーナス」といった形で、スタッフのモチベーションを高めることができます。

スタッフ全員が「自分のおすすめドリンク」を持つという取り組みは、自分で考案したドリンクや特に推したいドリンクを持つことで、お客様への提案も熱量が違ってきます。

定期的な見直しとデータ分析の重要性

ドリンクメニューは定期的に見直し、データに基づいて改善していくことが重要です。どのドリンクがよく売れているのか、原価率はどうなっているのか、時間帯や曜日によって注文傾向に違いはあるのかなど、細かくデータを分析することで、より効果的なメニュー設計が可能になります。

例えば、POSデータを活用して、時間帯別・曜日別のドリンク注文傾向を分析し、ランチタイムには軽めのドリンク、ディナータイムにはアルコールドリンクを充実させるといった戦略が考えられます。

見える化することで、スタッフ全員が目標を共有し、一丸となって取り組むことができるのです。

まとめ:ドリンクメニュー戦略で利益率アップを実現しよう

今回は、飲食店経営における原価率30%以下のドリンクメニュー戦略について解説しました。ドリンクメニューは、原価率の低さ、調理時間の短さ、トレンドを取り入れやすいという特性から、飲食店の利益率向上に大きく貢献します。

ポイントをまとめると以下の通りです。

  • ドリンクの種類別原価率を正確に把握する
  • 原価率の低いドリンク(ハイボール、サワー、カクテルなど)を主力商品に
  • セット販売とアップセル戦略でドリンク注文率を高める
  • オリジナルドリンクの開発で付加価値と利益率を向上させる
  • 業態に合わせたドリンク戦略を展開する
  • メニューブックのデザインと配置を工夫する
  • スタッフの教育とインセンティブ設計で提案力を高める
  • 定期的な見直しとデータ分析で継続的に改善する

飲食店経営は「どんぶり勘定」から脱却し、しっかりとした数字管理が必要です。特に原価率は利益に直結する重要な指標ですので、常に意識して経営を行いましょう。

ドリンクメニューの見直しは、比較的少ない投資で大きな効果が期待できる施策です。まずは現状の原価率を把握し、できるところから少しずつ改善していくことをおすすめします。

原価率の改善は、最終的には利益率の向上につながります。利益率を把握し、バランスの取れた経営数字管理を行うことで、より安定した店舗運営が可能になります。

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一緒に、強くて愛されるお店を作っていきましょう!

もし飲食店経営でお悩みの点があれば、いつでもご相談ください。25年の現場経験を活かして、あなたのお店に合ったアドバイスをさせていただきます。

飲食業界で25年、「美味しい」と「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー岡本にevisu公式LINEにてご相談ください。

岡本優

飲食店経営伴走型パートナー

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利益改善、集客強化、人材育成、オペレーション改善まで、
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飲食店の課題の答えは、すべて現場にあります。
私の仕事は、その答えをオーナー様と共に見つけ出すこと。

飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてまいりました。株式会社サッポロライオン「銀座ライオン」にアルバイトにて入社後、ひたすら経営と現場に没頭する中で、新宿店、そして800席を超える銀座本店の総支配人を拝命。

赤字店舗の再建を託される機会も多く、お客様とスタッフ双方の満足度向上を軸としたアプローチで、全ての担当店舗を黒字化へ導いた経験は、私の大きな財産です。

しかし、多くの飲食店が未来に不安を抱えている現状を目の当たりにし、この経験を業界全体のために活かしたいという想いが日に日に強くなりました。そこで2025年、株式会社evisuを設立。25年間現場で培ったリアルなノウハウを、同じ志を持つ経営者の皆様と分かち合い、共に困難を乗り越えるパートナーでありたいと考えております。

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