値上げでお店にリピーターが増える!?店舗価格改定時のお知らせ術

店舗づくり
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こんにちは!飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本です!

「原材料費が高騰して利益が出ない…」
「値上げしたいけど、お客様が離れるのが怖い…」

このような悩みを抱える飲食店経営者の方は、今とても多いのではないでしょうか。世界的なエネルギー価格の上昇や円安の影響を受け、食材から備品に至るまで、あらゆるものの価格が上がっています。このままでは経営が立ち行かなくなる…そんな危機感を持ちながらも、値上げに踏み切れずにいる方も少なくないでしょう。

でも、実は値上げは「お客様離れ」に直結するわけではありません。むしろ、適切な方法で行えば、リピーターが増える可能性すらあるのです。

お店側の値上げお知らせに対する消費者の本音とは?

まず、値上げに対する消費者の本音を知っておくことが大切です。調査によると、なんと72.6%もの人が飲食店の値上げに対して一定の理解を示しているというデータがあります。

参考元:【ぐるなびリサーチ部】外食の値上げに関する調査

これは驚くべき数字です!つまり、多くのお客様は値上げそのものには理解を示しているということ。

ただし、同調査では「値上げを検討している飲食店に期待すること」として、「サービスの拡充」「質や量を変えないでほしい」「質や量を向上してほしい」といった声も多く寄せられています。

つまり、お客様は値上げそのものより、その後のサービスや品質に注目しているのです。

値上げ後の“体験価値”づくりまで含めた実務ステップをまとめました。段階的改定や告知のコツを一気に把握したい方はこちら。

▶︎ 飲食店の値上げ戦略|客離れを防ぐ7つの効果的手法

私が現場で見てきた経験からも、お客様は単に「安いから」という理由だけでお店を選んでいるわけではありません。「この価格でこの価値」という総合的な判断をしているのです。

値上げのお知らせをしても客離れしないお店の特徴

では、実際に値上げをしても客足が途絶えない、むしろリピーターが増えるお店にはどんな特徴があるのでしょうか?

1. 健全な経営姿勢を持っている

値上げをせずに経費削減だけを考えると、店舗の劣化や人件費カットによるサービス低下を招きます。これは長期的に見ると、むしろお客様離れの原因になります。

健全な経営を続けるためには、仕入れ価格の上昇に応じてメニュー価格の改定も必要だと考えるお店は、お客様からの信頼も厚いのです。

あるお店で、原材料費の高騰で赤字になりそうなメニューがありました。思い切って10%値上げしたところ、「このクオリティを維持するなら当然だ」とむしろ応援してくれるお客様が多かったのです。

2. ステルス値上げをしない

価格を変えずに商品の量や質を下げる「ステルス値上げ」は、特にリピーターのお客様にとって大きな裏切り行為と感じられます。

食材の質や量を減らすより、正直に値上げをする方が、長期的には来店客数の維持につながるのです。

あなたも「前より小さくなった」「味が落ちた」と感じたお店には二度と行きたくなくなりませんか?

“量や質は守りつつ、価格で正直に向き合う”ための実務アイデアを整理。反発を招かない値上げ設計の要点を確認しましょう。

▶︎ 飲食店の値上げ戦略|客離れを防ぐ7つの効果的手法

3. 特別感のあるメニューで価格調整している

定番の主力商品の値上げをせず、期間限定や季節の食材を使用したサイドメニューで価格調整するという戦略も効果的です。

新商品なら、以前との価格比較がされにくいため、適正な利益を確保しやすくなります。また、特別感があるため、高くても注文したいという心理が働くのです。

値上げのお知らせに成功したお店の事例から学べるポイント

実際に値上げを成功させた飲食店の事例から、具体的なポイントを見ていきましょう。

1. 値上げの理由を丁寧に説明する

あるラーメン店では、値上げの際に「国産小麦の使用による原材料費の上昇」という理由を明記したPOPを設置しました。すると、お客様からは「国産にこだわっているなら応援したい」という声が多く寄せられ、むしろ客足が増えたそうです。

理由を明確に伝えることで、お客様の理解と共感を得られるのです。

2. 値上げと同時に価値を高める

ある居酒屋では、メニュー価格の改定と同時に、盛り付けや器を見直し、見た目の豪華さを増しました。また、スタッフの接客研修も強化。結果、客単価は上がりましたが、リピート率も向上したのです。

値上げする分、それ以上の価値をお客様に感じてもらうことが重要です。

3. 常連客への特別な配慮をする

あるカフェでは、値上げの際に常連客向けの「サンキューカード」を作成。次回来店時に使える小さな特典を用意しました。この心遣いが逆に常連の絆を強め、来店頻度が増えたそうです。

値上げは単なる価格変更ではなく、お客様との関係を見直す機会でもあるのです。

値上げの具体的な進め方

では、実際にどのように値上げを進めれば良いのでしょうか?具体的な手順を見ていきましょう。

1. 値上げするメニューと金額の決め方

すべてのメニューを一律に値上げするのではなく、原価率の高いメニューや人気メニューを中心に検討しましょう。

一般的には、5〜15%程度の値上げが多いようです。あまり小幅すぎると効果が薄く、大幅すぎるとお客様の反発を招きます。

私の経験では、一度に大幅な値上げをするより、段階的に行う方が受け入れられやすいです。例えば、半年で20%の値上げが必要なら、10%ずつ2回に分けるといった具合です。

2. 価格改定のお知らせ方法

値上げのお知らせは、実施の1ヶ月前から行うのが理想的です。店内POPやSNS、スタッフからの口頭説明など、複数の方法で伝えましょう。

お知らせの際は、値上げの理由を正直に、そして前向きに伝えることが大切です。「より良いサービスを提供するため」「品質を維持するため」といった表現を心がけましょう。

例文としては:「原材料費の高騰により、誠に恐縮ではございますが、○月○日より一部メニューの価格を改定させていただきます。今後もより一層、品質とサービスの向上に努めてまいりますので、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。」

3. 値上げ後のフォローアップ

値上げ後こそ、サービスの質を高める絶好の機会です。スタッフの接客レベルを上げ、料理の品質や見た目にもこだわりましょう。

また、値上げ後のお客様の反応をしっかり観察し、必要に応じて調整することも大切です。

「値上げしたのに、前より美味しくなった気がする!」と言ってもらえるようなサービス提供を目指しましょう。

値上げを機にリピーターを増やす戦略

お客様を「ファン」に変える、リピーター育成3段階戦略

第一段階:感動体験 ―「また来たい」と思わせる、店での時間

すべての土台は、お客様が店内で過ごす時間にあります。ここでの体験が平凡であれば、次はありません。「美味しかった」は当たり前。「楽しかった」「感動した」という、心を動かす体験を創出することが絶対条件です。

  • 1. 期待を超える料理と空間 コンセプトに基づいた、誰にも負けない看板商品と、清潔で居心地の良い空間。これは、お客様をお迎えするための最低限の礼儀です。
  • 2. 「記憶に残る」おもてなし 単に丁寧なだけの接客では、お客様の記憶には残りません。お客様の些細な会話を記憶し、次の一言に繋げることが重要です。例えば、「以前お好きだとおっしゃっていた日本酒、新しいものが入りましたよ」と声をかける。この「私のことを覚えていてくれた」という小さな感動が、お客様の心を掴みます。
  • 3. 「特別扱い」の演出 お客様の苦手な食材を覚えておき、次に来店された際には、言われなくても別の食材に変えて料理をお出しする。このような、一人ひとりに寄り添う「特別扱い」は、お客様にとって何物にも代えがたい価値となります。

第二段階:再会の約束 ―「また来ます」を引き出す、会計・退店時

お客様の満足度が最も高まっているこの瞬間を、ただ見送るだけではあまりにもったいない。次なる「再会」への布石を打つ、重要な時間です。

  • 1. 次回来店を促す「きっかけ」作り お見送りの際に、「来週から、旬のサンマが始まりますので、またぜひ」「来月、素晴らしいワインが入りますよ」といった、次を期待させる一言を添えます。お客様の頭の中に「また来る理由」をそっと置いてくるのです。
  • 2. 「繋がり」を作る仕組み お客様と店の関係を、その日限りで終わらせないための仕組みを作ります。例えば、「LINEにご登録いただければ、本日のデザートをサービスします。今後、常連様だけの特別なご案内をお届けしますので、ぜひ」とお声がけし、未来へ繋がる接点を確保します。

第三段階:関係維持 ―「忘れさせない」ための、店外での心遣い

店を出た瞬間から、お客様は無数の情報に晒され、あなたの店の記憶は薄れていきます。だからこそ、こちらから定期的かつ効果的にアプローチし、「思い出してもらう」努力が不可欠です。

  • 1. 「特別なお知らせ」を届ける LINEやメールで、全てのお客様に同じ安売り情報を送るのではなく、「〇〇様、いつもありがとうございます。昨年ご好評いただいた『香箱ガニ』、今年も入荷しました。〇〇様のために、少しですが確保してあります」といった、「あなただけ」に宛てた、価値ある情報を届けます。
  • 2. 記念日を大切にする お客様の誕生日や記念日といった「特別な日」を大切にします。予約台帳に記録しておき、その日が近づいたら「お誕生日おめでとうございます。ささやかですが、お祝いの一品をご用意してお待ちしております」と、お祝いの気持ちを伝えるメッセージを送ります

まとめ:値上げは経営改善とリピーター獲得のチャンス

値上げは、単に価格を上げるだけの行為ではありません。お店の価値を見直し、サービスを向上させ、お客様との関係を強化するチャンスでもあるのです。

重要なのは、値上げの理由を丁寧に説明し、値上げ以上の価値をお客様に提供すること。そして何より、お客様の立場に立って考え、誠実に対応することです。

物価高騰の今だからこそ、思い切った価格改定で経営を健全化し、より良いサービスを提供できる体制を整えましょう。それが結果的に、お客様からの信頼を高め、リピーターの増加につながるのです。

あなたの店の未来を、心から応援しています!

飲食店経営でお悩みの方は、ぜひ私にご相談ください。25年の現場経験を活かし、あなたのお店に合った解決策をご提案します。

飲食業界で25年、「美味しい」と「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー岡本にevisu公式LINEにてご相談ください。

岡本優

飲食店経営伴走型パートナー

もう、一人で悩まない。
あなたの店の「右腕」になります。 

利益改善、集客強化、人材育成、オペレーション改善まで、
経営のあらゆる課題に、オーナー様と同じ目線で
共に答えを見つけ出します。 

現場力とマーケティング力を掛け合わせた、
evisuだけが提供できる継続的なパートナーシップです。

飲食店の課題の答えは、すべて現場にあります。
私の仕事は、その答えをオーナー様と共に見つけ出すこと。

飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてまいりました。株式会社サッポロライオン「銀座ライオン」にアルバイトにて入社後、ひたすら経営と現場に没頭する中で、新宿店、そして800席を超える銀座本店の総支配人を拝命。

赤字店舗の再建を託される機会も多く、お客様とスタッフ双方の満足度向上を軸としたアプローチで、全ての担当店舗を黒字化へ導いた経験は、私の大きな財産です。

しかし、多くの飲食店が未来に不安を抱えている現状を目の当たりにし、この経験を業界全体のために活かしたいという想いが日に日に強くなりました。そこで2025年、株式会社evisuを設立。25年間現場で培ったリアルなノウハウを、同じ志を持つ経営者の皆様と分かち合い、共に困難を乗り越えるパートナーでありたいと考えております。

「楽しくなければ飲食店ではない」を信念に、皆様のお店が笑顔で溢れる場所になるよう、全力でサポートいたします。

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