ランニングコストを増やして飲食店の売上を伸ばす逆転の発想

店舗経営
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こんにちは!飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー、岡本です。

今日は少し変わった切り口で、飲食店の売上アップについてお話しします。

「コストを削減して利益を増やす」というのが一般的な経営の考え方です。でも、それだけでは限界があるんです。

実は私の経験から言うと、適切なポイントでランニングコストを「増やす」ことで、結果的に売上と利益を大きく伸ばせるケースが少なくありません。この「逆転の発想」が、今日のテーマです。

飲食店経営者の皆さんは「売上は上がっているのに、なぜか利益が出ない…」とお悩みではありませんか?その気持ち、痛いほど分かります。

飲食店のランニングコスト

まずは飲食店のランニングコストについて、基本を押さえておきましょう。

飲食店のランニングコストとは、店舗を運営し続けるために必要な費用のことです。主に以下のような項目が含まれます。

  • 食材費・飲料費(原価)
  • 人件費(アルバイト給与などの変動費)
  • 家賃(歩合賃料等)
  • 水道光熱費
  • 広告宣伝費
  • 消耗品費

一般的に、飲食店の売上の8〜9割はこれらのランニングコストに消えていくと言われています。そのため、利益率を高めるためには、これらのコストをいかに適正に管理するかが重要なポイントになります。

コスト管理の精度を上げるには、まず自店の原価率・粗利率・利益率を正確に把握することが第一歩です。

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業界では「FL比率」という指標があります。

これは「Food(食材費)+Labor(人件費)÷売上高」で計算され、60%以下を目指すのが理想とされています。

でも、ここで大切なのは「ただ削減すればいい」という単純な話ではないということ。

こんな経験がありました。

コスト削減の一環として、スタッフの人数を減らしたんです。確かに人件費は下がりました。でも、その結果、サービスの質が落ち、お客様の満足度も下がり、リピート率が激減。最終的には売上が大幅に落ち込み、利益はかえって減ってしまったんです。

この失敗から学んだのは、「削るべきところと、投資すべきところを見極める」という経営の真髄でした。

ランニングコストを「増やす」ことで飲食店の売上を伸ばす逆転の発想

では本題に入りましょう。どうすれば「コストを増やして売上を伸ばす」という逆転の発想が実現できるのでしょうか?

要は、「投資」と「浪費」の違いを見極めることです。単なる出費ではなく、将来のリターンを生み出す投資としてコストを捉え直すのです。

1. 人件費を戦略的に増やす

「人件費は削減すべき」という考えは、短期的には正しいかもしれません。しかし、長期的に見ると必ずしもそうではありません。

私がある店の立て直しを任された時のことです。当時の店は人件費を極限まで削り、最低限の人数でまわしていました。

そこで思い切って、アルバイトスタッフを増員。さらに、全スタッフの研修に投資しました。確かに人件費は上がりましたが、サービスの質が劇的に向上。お客様の満足度が高まりました。

結果、半年後には人件費率は上がったものの、総利益は大幅に増加したのです。

人件費や経費は「削るかどうか」ではなく「どこに投資するか」で判断することが重要です。日常的な支出の見直し方はこちらで解説しています。

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2. 食材原価を見直す

安い食材で原価を抑えるのは簡単です。でも、それが本当に正解でしょうか?

ある店は他店との価格競争に巻き込まれ、どんどん食材の質を落としていたのです。

そこで発想を転換。あえて原価率を上げ、地元の高品質な食材にこだわりました。確かに原価は上がりましたが、料理の味と見た目が格段に良くなり、お客様の反応も変わりました。

「こんなに美味しいなら、この価格でも全然OK!」

そう言ってくださるお客様が増え、客単価も上がり、結果的に売上と利益の両方がアップしたのです。

食材原価率の適正化は、利益構造を安定させるための重要な施策です。具体的な計算方法や改善策はこちら。

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3. 広告宣伝費を効果的に投入する

「広告なんて効果がわからないから…」と消極的になっていませんか?確かに、闇雲に広告費をかけても効果は限定的です。

しかし、ターゲットを絞った効果的な広告投資は、大きなリターンを生み出します。

私は、各店舗のターゲット客層を明確にし、それぞれに合わせた広告戦略を立てました。

例えば、ジンギスカンの店舗は肉好きの30代男性をターゲットに、イタリアンは女性客をターゲットに。広告費は確かに増えましたが、その分、狙ったお客様にピンポイントでアプローチできました。

結果、広告費の増加分を大きく上回る利益増を実現できたのです。

売上を安定的に伸ばすには、広告費だけでなく日々の売上推移や客単価の管理も欠かせません。

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効果的なコスト増加のための5つの実践ポイント

では具体的に、どのようにコストを増やせば効果的なのでしょうか?以下の5つのポイントを押さえておきましょう。

1. 投資対効果を常に測定する

コストを増やす前に、必ず「このコスト増加で、どれくらいのリターンが期待できるか」を数値化しておきましょう。

例えば、スタッフを1名増員するなら、その人件費に対して最低でも3倍のリターン(売上増や業務効率化による他のコスト削減など)を目標にするといった具体的な指標を持つことが大切です。

私がいつも現場で言っているのは、「投資は回収。費用をかけた分は必ず売上でしっかり取り返す。数字は嘘をつかない。」ということ。数字に基づいた投資判断が、成功への近道です。

2. 顧客体験を最優先に考える

コスト増加の判断基準として最も重要なのは、「お客様の体験価値が向上するか」という点です。

ある店舗は、厨房設備を最新のものに入れ替えました。確かに設備投資というコストはかかりましたが、料理の提供時間が短縮され、お客様の待ち時間が減少。さらに、調理の質も安定し、お客様満足度が向上しました。

結果、回転率が上がり、売上増につながったのです。

お客様の体験価値を高めるコスト増加は、必ず良い結果を生み出します。

3. スタッフの成長に投資する

人件費の中でも、特に「教育研修費」は削ってはいけません。むしろ積極的に増やすべき投資です。

スキルアップしたスタッフは、より高い価値を生み出します。接客の質が上がり、オペレーションの効率も向上。結果的に、お客様満足度と売上の両方がアップするのです。

私が現場で常に大切にしているのは「人財への投資」です。スタッフが成長すれば、お店も必ず成長します。

4. 差別化につながるコストは惜しまない

競合との差別化につながるポイントには、コストを惜しまないことが重要です。

例えば、他店にはない特別な食材や、独自のサービス、店内の雰囲気づくりなど。これらは一見コスト増になりますが、お店の個性を際立たせ、「ここでしか味わえない価値」を生み出します。

私が任された店舗では、普通の生ビールしか提供していませんでした。そこで、多品種の生ビールの取り扱いを始めたんです。確かに管理は大変になりましたが、生ビール好きのお客様が増え、客単価も上昇。結果的に売上アップにつながりました。

あなたのお店ならではの「強み」を作るためのコストは、惜しんではいけません。

5. 長期的視点で判断する

コスト増加の効果は、すぐには現れないこともあります。だからこそ、短期的な視点だけでなく、長期的な成長を見据えた判断が必要です。

例えば、店舗の改装や設備投資は、すぐには回収できないかもしれません。しかし、3年、5年という長期で見れば、大きなリターンをもたらす可能性があります。

私が飲食業界で25年間やってきて強く感じるのは、「目先の利益だけを追うと、長い目で見たときに大きく損をする」ということ。長期的な視点を持つことが、持続可能な成長への鍵なのです。

コスト配分の最適化には、短期・中期・長期の資金繰りを見据えた計画も必要です。

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まとめ:ランニングコストは「削減」ではなく「最適化」を目指す

いかがでしたか?「ランニングコストを増やして売上を伸ばす」という逆転の発想について、理解いただけたでしょうか。

大切なのは、コストを「削減する」か「増やす」かという二択ではなく、「最適化する」という考え方です。

削るべきところは徹底的に削り、投資すべきところには惜しみなく投資する。この「メリハリ」が、飲食店経営の要なのです。

  • 人件費は「コスト」ではなく「投資」と考える
  • 食材原価は「安ければいい」ではなく「価値に見合っているか」で判断する
  • 広告宣伝費は「無駄」ではなく「未来への種まき」と捉える
  • 設備投資は「出費」ではなく「長期的な武器」として考える

飲食業界は厳しい世界です。でも、この「逆転の発想」を身につければ、他店との差別化も図れますし、持続可能な成長も実現できます。

答えは常に「現場」にあります。お客様の声、スタッフの声に耳を傾け、数字をしっかり見ながら、最適なコスト配分を考えていきましょう。

一緒に、強くて愛されるお店を作っていきましょう!

あなたの店の未来を、応援しています。

何か質問や相談があれば、いつでもお気軽にご連絡ください。私たちevisuは、あなたの飲食店経営を全力でサポートします。

飲食業界で25年、「美味しい」と「楽しい」を追求し続けてきた飲食店経営伴走型パートナー岡本にevisu公式LINEにてご相談ください。

岡本優

飲食店経営伴走型パートナー

もう、一人で悩まない。
あなたの店の「右腕」になります。 

利益改善、集客強化、人材育成、オペレーション改善まで、
経営のあらゆる課題に、オーナー様と同じ目線で
共に答えを見つけ出します。 

現場力とマーケティング力を掛け合わせた、
evisuだけが提供できる継続的なパートナーシップです。

飲食店の課題の答えは、すべて現場にあります。
私の仕事は、その答えをオーナー様と共に見つけ出すこと。

飲食業界で25年、お客様の「美味しい」とスタッフの「楽しい」を追求し続けてまいりました。株式会社サッポロライオン「銀座ライオン」にアルバイトにて入社後、ひたすら経営と現場に没頭する中で、新宿店、そして800席を超える銀座本店の総支配人を拝命。

赤字店舗の再建を託される機会も多く、お客様とスタッフ双方の満足度向上を軸としたアプローチで、全ての担当店舗を黒字化へ導いた経験は、私の大きな財産です。

しかし、多くの飲食店が未来に不安を抱えている現状を目の当たりにし、この経験を業界全体のために活かしたいという想いが日に日に強くなりました。そこで2025年、株式会社evisuを設立。25年間現場で培ったリアルなノウハウを、同じ志を持つ経営者の皆様と分かち合い、共に困難を乗り越えるパートナーでありたいと考えております。

「楽しくなければ飲食店ではない」を信念に、皆様のお店が笑顔で溢れる場所になるよう、全力でサポートいたします。

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